プロ野球亭日乗BACK NUMBER
ついに実施される「現役ドラフト」。
でもこのままでは選手救済できない。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/01/24 20:00
現役ドラフトの導入を求めてきた日本プロ野球選手会の炭谷銀仁朗会長(左)と大島洋平理事長。最終的に納得できる制度になるか。
埋もれている選手を救済できる制度を。
これくらいの思い切ったシステムでやらなければ、本当に埋もれている選手を掘り起こすような制度は、なかなか実現できないはずなのだ。
もともと経営者サイドはこの制度にはあまり乗り気ではなかったと言われる。ただ選手会側からの強い要望で、「それなら」とこうした妥協的な案が出てきた訳だ。
だとすれば選手会がこんな骨抜きの制度で満足すべきではないが、選手会サイドも「今年からやりたいという選手会の意見にNPBも応えてくれている」(森忠仁事務局長)とこの案でも前向きだ。
最近はかつてのような存在感が薄らいでいることに危機感を抱いている事務局が、とにかく制度を作ることに躍起なので、見切り発車でもスタートするのではないかという声も関係者からは聞こえてくる。
そんな思惑が絡み合った「ブレークスルードラフト」は、だから“妥協の産物”と言われてしまうのだ。
果たして制度がスタートすることに意味があるのか。それとも本質的に選手を救済できる制度作りまで、年内スタートに拘らずに粘り強く交渉を続けていくべきなのか。
1つだけ言えるのは、MLBの「ルール5ドラフト」のように、本当に埋もれている選手を救済できる制度でなければ、「ブレークスルードラフト」の意味もないということだけである。