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ついに実施される「現役ドラフト」。
でもこのままでは選手救済できない。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2020/01/24 20:00

ついに実施される「現役ドラフト」。でもこのままでは選手救済できない。<Number Web> photograph by KYODO

現役ドラフトの導入を求めてきた日本プロ野球選手会の炭谷銀仁朗会長(左)と大島洋平理事長。最終的に納得できる制度になるか。

球団の恣意ではなく、条件を満たせば対象に。

 メジャーの「ルール5ドラフト」は、翌年の戦力がある程度確定した12月に行われ、(1)ドラフトの対象はメジャー40人枠に入っていないこと(2)プロ入り年齢が19歳未満は5年、それ以上は4年が経過していること、この条件を満たすマイナー選手全員が対象となる。

 しかも指名した球団は、元の所属球団に移籍金を支払った上に、獲得した選手は翌シーズンの1年間は故障者リスト入りなどしない限り、原則的にはアクティブ・ロースターに登録しなければならない。

 球団の恣意ではなく、一定の条件を満たしたすべての選手がドラフトの対象となり、移籍先である程度の立場が保証されるのだ。

 だから力はありながら球団の事情でチャンスに恵まれなかった選手が、活躍の場を得られる可能性が出てくる訳である。

原監督は「3月に実施すべき」と提言。

 しかしNPBと選手会がやろうとしている「ブレークスルードラフト」では、制度そのものが、その可能性を非常に低く抑えたものとなってしまっているのだ。

 やるのであれば例えば、高卒はプロ入り5年、大卒はプロ入り3年以上で、直近の3年間の一軍登録日数の合計が50日未満の全選手を指名対象にする。球団が選別するのではなく、条件を満たせば自動的にドラフトの対象となる基準でなければならないだろう。

 また昨年、巨人・原辰徳監督が「戦力として考えるなら3月に実施すべき」と提言したが、これも的を射ている。

 3月の時点なら、前年の戦力整備の上で支配下登録されたチームの戦力といえる存在だ。この段階で獲得すれば、指名球団も一軍登録して、そのシーズンに本気で戦力として起用するために指名できるはずだ。

【次ページ】 埋もれている選手を救済できる制度を。

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