メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
秋山翔吾、筒香嘉智、山口俊。
3人の侍が挑むそれぞれのハードル。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byKyodo News
posted2020/01/13 11:30
シンシナティ・レッズの会見後、本拠地のグレート・アメリカン・ボール・パークをバックにポーズを決める秋山翔吾。
青木宣親と松井秀喜の先行事例。
また、守備面に関しても意識の変化は大切になってくる。
MLB時代の青木宣親外野手は6年間で通算.350とまずまずの出塁率を記録したが、外野守備が安定せずに試合終盤には守備固めの野手を送られる憂き目を味わった。
大切なことは堅実性と状況判断力。ヤンキースなどで活躍した松井秀喜さんは、派手さはなかったものの決して強くはない肩をクイックな送球と正確なコントロールで補い、状況判断力も的確だった。左翼手と遊撃手の関係にあったあのデレク・ジーター氏は当時、こんな言葉で松井さんの守備を評した。
「ヒデキには無駄のない動きと素早く正確に投げる送球力がある。その上に状況判断に間違いがない。私がコンビを組んだ外野手でこの2点で彼に勝る者はいない」
秋山だけでなく日本人外野手には気に留めて欲しい言葉だと感じる。
筒香は日本時代からメジャー流。
横浜DeNAベイスターズからタンパベイ・レイズに移籍が決まった筒香嘉智外野手(27)も課題は秋山同様になるだろう。
2年総額1200万ドル(約13億1500万円)の契約は20年が500万ドル、21年が700万ドル。キャンプインから開幕1カ月後までは出場機会は保証されるだろう。
その中で筒香の求められるアジャストとは何か。守備面での堅実さは先にもあげたが、打撃面では155キロを超える高めの4シームへの対応が課題となるだろう。
筒香は日本時代から右足を大きくあげることなく、メジャー流とも言えるすり足に近いタイミングの取り方で逆方向への打撃を意識してきた。適応が必要な事項は少なくなると感じるが、160キロ近い4シームに対応することは容易いことではない。
今、メジャーでは4シームの直球が再び全盛期を迎えようとしている。投手たちはその4シームを高めのストライクゾーンに集めることに主眼を置く。
この球は打者にとってはヒッティングポイントとの距離がとりづらく最も対応が厄介な球である。日本では160キロ近い4シームを投げる投手は少ないが、メジャーではざらだ。筒香がこの点を克服できるかどうか。ポイントはここになるだろう。