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なぜMLB移籍は「挑戦」なのか。
秋山、筒香が挑み、背負ったもの。
posted2020/01/11 11:50
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
AFLO
数年前、日本に帰った折に「知り合いの知り合い」みたいな人と、少し議論みたいなことになった。
それは「サラリーマンには夢みたいな年俸を貰って“メジャーリーグ挑戦”なんて、言葉の使い方がおかしい。正確には“メジャー移籍”と書くべきだ」という相手の言葉に端を発したものだった。
「日本のプロ野球よりメジャーの方がレベルが上だと見られているから、“挑戦”になってしまうんじゃないですかね」と返したのが文字通り、売り言葉に買い言葉になってしまい、そこから「WBC連覇で日本プロ野球が世界一だと証明された」対「WBCはサッカーのワールドカップのような真の世界大会ではない」とか、「イチロー(当時現役)はメジャーでも一番になった」対「イチローが今でも日本でやってたら、打率4割とか三冠王とか達成している」みたいなことを不毛に言い合った。
あの「知り合いの知り合い」は今でも、他の誰かに「そんなのは“メジャー挑戦”とは呼ばない」と言い張ってるのだろうか――。
秋山が7億、筒香が6億で契約。
なぜなら、前埼玉西武ライオンズの秋山翔吾外野手がレッズと3年総額2100万ドル前後の契約(年俸7億7000万円、1ドル110円換算)、前横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智外野手がレイズと2年総額1200万ドル(年俸6億6000万円)、そして前読売ジャイアンツの山口俊投手がブルージェイズと2年総額635万ドル(年俸3億4925万円)で契約しての”メジャー挑戦”が今季、始まるのだから。
今年、新しく“メジャー挑戦”する3人に期待する気持ちは膨らむばかりだが、とくに秋山と筒香の2人がオープン戦でしっかり結果を残して「開幕メジャー」を手にすれば、「投打二刀流」の大谷翔平選手は別として、2017年の青木宣親外野手(現東京ヤクルト)や川崎宗則内野手(昨季台湾・味全)以来となる新しい「日本人野手」が誕生することになる。