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1つのミスでサッカー人生は変わる。
サウジ戦終盤、共通認識はあったか。
 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byJFA/AFLO

posted2020/01/10 16:30

1つのミスでサッカー人生は変わる。サウジ戦終盤、共通認識はあったか。<Number Web> photograph by JFA/AFLO

初戦を落とした事実は変わらない。だからこそ若き日本代表には、ここからのリバウンドメンタリティーに期待したい。

1-1で終わらせるのか、それとも。

 とはいえ、個人のミスとして、切り捨てるわけにもいかない。

 試合の終わらせ方はどうだったのか。逆転を狙うのか、1-1のまま終わらせるのか、その判断をはっきりさせるべきであった。

 前半からボールを動かし、サウジアラビアを揺さぶったことが利いたのか、後半に入って相手の動きは落ちていた。食野亮太郎のゴールで同点に追いついた日本に流れが傾いていて、逆転の気配はたしかに漂っていた。

 だが相手は優勝候補の一角であり、日本とともにこのグループを勝ち抜く可能性が高いことを考えれば、1-1のまま終わらせるという判断があってもよかった。

「グループステージを勝ち進むためには、敵に(勝点)3を与えないという考えは頭の中にあった。普段、フロンターレでは阿部(浩之)くんだったり、勝負を知っている選手に声を掛けてもらっているから、自分の中では分かっているつもりだったけど、実際に行動に移すまでに至らなかったし、自分の中でいけるんじゃないかなというのがあった。

 その判断の甘さ。そこでもっとゲームを読んで、大局的にゲームを観れる力がなければ戦えないのかなと思います」

 そう振り返ったのは、ボランチでゲームをコントロールしてきた田中碧である。

キャプテン渡辺が悔やむ統率不足。

 一方、キャプテンマークを巻いた渡辺剛は統率不足を悔やんだ。

「自分たちとしては、もう1点取って勝ちたいという気持ちもありましたし、その中で点を取れなくて1-1で終わるのも悪いことではない、と全員が認識していたと思うので、意識のズレはなかったと思うんですけど、どこか引き分けでいいと思う選手がいたのかもしれないですし、そこに気づけなかった自分の責任でもあると思います」

 1-1のまま終わらせるのか、逆転を狙うのか、どちらが正解というわけではなく、重要なのは、チーム内で共通認識を持つことなのだ。

 連係不足を露呈した11月のコロンビア戦を受け、12月のジャマイカ戦前にはキャプテンの中山雄太を中心に選手ミーティングを重ね、細部を徹底的に詰めた。その結果、ジャマイカ戦では攻撃のイメージが噛み合い、9-0の大勝を飾った。

 今大会においても、チームキャプテンに任命された小島亨介や渡辺ら年長者が中心となり、選手ミーティングを行なった。その成果なのか、「試合内容は良かった」と田中碧が振り返ったように、ビルドアップのバリエーションやシャドーの生かし方など、狙っていた形が随所に出たのは間違いない。

 それでもツメが甘く、大きな代償を払うことになった。ピッチ上の判断も、コミュニケーションの質と量も、まだまだ甘いということだ。

【次ページ】 ひとつのミス、敗戦で人生は変わる。

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