Jをめぐる冒険BACK NUMBER
1つのミスでサッカー人生は変わる。
サウジ戦終盤、共通認識はあったか。
posted2020/01/10 16:30
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
JFA/AFLO
果たして、試合の終わらせ方は、チーム内で共有されていたのか――。
タイで行なわれているU-23アジア選手権。東京五輪のアジア最終予選も兼ねたこの大会に、すでに出場権を獲得している日本もチームの強化、メンバー選考のために参加している。
そのグループステージ初戦のサウジアラビア戦。1-1で迎えた85分、痛恨のミスが起きた。
3バックの左に入る古賀太陽が中央の岡崎慎に戻したボールが大きく逸れて相手FWに渡り、懸命に戻った岡崎の足が相手に当たったとしてPKを宣告されたのだ。
土壇場で許した決勝ゴール。日本は1-2で敗れ、黒星スタートとなった。
「自分の責任だし、最低でも(勝点)1を取らないといけない試合だった。まずは本当にチームのみんなに申し訳ないという気持ちがあります」
そう言って、古賀は悔しさを滲ませた。
2年前の同大会でも同じパスミス。
それにしても、あまりに稚拙なミスだった。
ディフェンスラインで犯した、イージーな失策――。
思い出されるのは2年前、2018年1月に中国で行なわれた同大会だ。
この大会のウズベキスタンとの準々決勝でも、ディフェンスラインのパスミスを狙われ、0-4の大敗を喫しているのだ。
もっとも、このときはまだ、東京五輪代表チームが立ち上げられたばかり。後方からパスを繋いで相手のプレッシャーを剥がすトレーニングを入念に積んでいる最中でもあり、チャレンジのミスとして許容することができた。
それから8度の海外遠征を繰り返し、多くのミスと引き換えに経験を積み、いよいよ五輪イヤーに突入してもなお、信じられないようなミスが起きた……。
「僕としてはマコ(岡崎)に出したつもりだったけど、明らかにズレてしまった。前にチャレンジするミスならまだいいかもしれないけど、ああいうミスは命取りになるし、実際にその1点で勝点を逃したので、責任をすごく感じています」