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市船が新監督で挑む初の選手権。
「ようやく勝負強さが出てきた」

posted2019/12/26 11:30

 
市船が新監督で挑む初の選手権。「ようやく勝負強さが出てきた」<Number Web> photograph by Takahito Ando

攻撃を牽引する10番鈴木唯人ら、注目選手が揃う市立船橋。監督、選手にとって初めての選手権に挑む。

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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Takahito Ando

 高校サッカー選手権優勝5回、インターハイ優勝9回を誇り、これまで多くのJリーガー、そしてJクラブを率いる指揮官を輩出してきた市立船橋高校。そんな全国トップレベルの強豪校に今年、新たな動きが起こった。

 布啓一郎(来季から松本山雅FC監督)、石渡靖之(現・市立船橋高校校長)の後を継いだ朝岡隆蔵が今年の3月に退任(ジェフユナイテッド千葉U-18監督に就任)。新たに波多秀吾監督がそのバトンを引き継いだのだ。

 市船の凄さは、指揮官が替わっても強さを保ち続けていることにある。

 前任の朝岡はしっかり守れるという伝統を残しながらも、布から続く「堅守・市船」の戦いから、ボールを保持して主導権を握るサッカーにガラッと切り替えた。選手権優勝1回、インターハイ優勝2回、2014年にはチームをプレミアリーグEASTに引き上げ、同リーグで戦い続けるチームに仕立て、「市船ブランド」を守り続けた。

波多新監督が求めたもの。

「周りから『いろんなプレッシャーがかかるよ』と言われていて、覚悟はしていました」

 春先、朝岡前監督の送別会として、OBや関係者が集う会で就任の挨拶をした波多新監督は、自分が背負うものの重さをそこで改めて自覚し、覚悟を固めたという。

「朝岡さんからも『もう自分のやりたいようにやったほうがいいよ』、『プレッシャーはかかるけど、それを楽しむくらいにやるしかないよ』と言われました。僕は朝岡さんが作り上げたボールを持って主導権を握りながら相手を圧倒するサッカーは、素晴らしいものだと思っているし、残していかないといけないものだとも思います。そこに自分の戦術ありきではなく、選手たちが作り上げていくアプローチを入れていく」

 いかに選手に自立を促し、ピッチ上で本気になって一丸となって戦えるか。「ボールを持って主導権を握ることだけでなく、しっかりと守備をしてショートカウンターなど、いろんな戦い方ができるチームにしたい」と、球際の激しさや守備の意識を選手たちに求め、練習後にはヒントを与え、選手ミーティングのルーティーン化を植え付けようと試みた。

 だが、結果はすぐについてこなかった。

【次ページ】 転機となった柏U-18戦での敗戦。

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