“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
市船が新監督で挑む初の選手権。
「ようやく勝負強さが出てきた」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/12/26 11:30
攻撃を牽引する10番鈴木唯人ら、注目選手が揃う市立船橋。監督、選手にとって初めての選手権に挑む。
プレミア残留、選手権出場へ。
1週間後のプレミアEAST第14節尚志高校戦に3-0で快勝すると、続く流経大柏戦を2-1、清水エスパルスユースに1-0、鹿島アントラーズユースに2-1で制し、破竹の4連勝。降格危機だったチームは最終節を残してプレミアEAST残留を決めた。
そして、迎えた高校サッカー選手権の県予選準決勝。守備の要であるDF畑大雅(湘南ベルマーレ内定)がU-17W杯から戻ってきた市船は専大松戸を4-0で一蹴。決勝では2連覇中の流経大柏を相手に2度のリードを追いつかれるという苦しい展開だったが、3-2で勝利。同点で迎えた57分に勝ち越しゴールを決めたのはエースの鈴木だった。これで3年ぶり22回目の選手権出場となった。
「少々のことで選手たちが音を上げなくなりました。我々スタッフが伝えることもそうだけど、選手の中でも厳しさを求め合うことが浸透してきた。遠慮することなく、試合中もピッチ外でも本気で言うべきことは言わないといつまで経っても伝わらない。温度差を作ってはいけないとやってきて、ようやく劣勢でもなんとか勝ちをものにするなどのたくましさ、勝負強さが出てきたと思います」(波多監督)
新時代の幕開けとして。
12月22日、群馬県の県立敷島公園サッカー・ラグビー場で開催されたドリームマッチ群馬2019。市船は、選手権優勝候補の一角である前橋育英高校(群馬)と親善試合を行った。そこでも市船の選手たちは立ち上がりからピッチ上で声を張り上げていた。
24分にFW伊藤涼也が先制弾を叩き込むと、劣勢となった後半もボランチの町田、石田と鷹啄トラビスのCBコンビを軸に最後まで守りきり、1-0。そこには「強い市船」が戻ってきた。
「最初は本気で日本一を獲るためのチームとしての行動だったり、取り組み、姿勢を全員が共有していなかった。それに気づいたからこそ、僕らは多くのものを学べたし、プレミアも残留出来て、(自分にとって)高校に入って初めての選手権への出場権を得ることができた。朝岡監督にも感謝していますし、波多監督も信頼しています」(町田)
選手権は12月30日開幕。市船は年が明けた1月2日に日章学園高との初戦を迎える。激動の1年の締めくくりとして、そして波多新体制となった市船の新時代の幕開けとして、歴戦の伝統校は3年ぶりの大舞台に臨む。