マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
球数制限で投手が足りないって本当?
野球の指導者たちに聞いてほしい話。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byAFLO
posted2019/12/24 07:00
ワールドシリーズ優勝投手になった上原浩治が本格的にピッチングを始めたのは高校3年生だった。
球数制限だって、チャンスかもしれない。
「かっこいい言葉でいえば、『可能性の発掘』ってとこかな。球数制限で、公立が鉄人エースの奮投で甲子園を勝ち取る可能性が消えちゃったって泣いてるヒマがあったら、自分のチームの選手の、ほんとのところの“適性”を試して、新しいピッチャーの人材の発掘に時間を使った方が、よっぽど前向きだよね。
いると思うよ、1人や2人、ピッチャーの素養を隠し持ったヤツ。そういう隠れた芽を探して、ほじくり出して、伸ばして開花させる。それも、指導者の値打ち、醍醐味じゃないのかい?」
これが、レジェンド言うところの“裏”なのか。
1つの現象に対して、そのまんま鵜呑みにして受け取らずに、ほんとにそうなのか疑ってみる、試してみる、確かめてみる。
ある現象は、必ず何かを投げかけている……もしくは試していると考える。
別に、先発して6回も7回も……そんなに投げなくてよい。相手打者ひと回り、2イニング、3イニング投げられる新星が1人か2人現れてくれたら、それだけでエースの負担がぜんぜん違ってくる。
「裏から見れば、大ピンチに思えたことも意外なチャンスに変えられるかもしれない。野球には、1回の表、2回の裏……必ず裏と表が付いてまわるんだからさ」