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同校初の3年連続シード権を狙う拓殖大学。
中央学院大学は悔しい昨季の雪辱を期す。 

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箱根駅伝2020取材チーム

箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020

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photograph byNanae Suzuki / Yuki Suenaga

posted2019/12/19 11:00

同校初の3年連続シード権を狙う拓殖大学。中央学院大学は悔しい昨季の雪辱を期す。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki / Yuki Suenaga

「石綿は言わなくてもできます」

「もう一度アンカーに抜てきしてもらい、監督の信頼をつかむ最後のチャンスだと思いました。ここでダメなら、箱根駅伝の10区もないと思い、必死で走りました」

 伊勢路では11位でたすきを受け、1人抜いて最後まで粘りを見せた。後ろから法政大学のエース・青木涼真(4年)が迫ってくる状況だったが、抜かれることなく逃げ切った。厳しい指揮官は、顔を少しだけほころばせた。

「よくやりました。力のある青木選手にやられなかったことは評価できますし、成長だと思いました」

 アンカーの資質は、もともと備えていた。川崎監督は石綿をスカウトしたときから、その才能に気づいていた。

「技術的なことを言えば、切り替えができるんです。ラストスパートにキレがある。うちはどのような状況でも『ラスト1km、400mは上げろ』とみんなに言うのですが、石綿は言わなくてもできます。高校時代からそうでした。教えなくても、いまだにやってくれています。絶対に負けないぞ、という気持ちも走りに見えます」

旧友とのたすきリレーも見据えて。

 まだ区間配置が決まったわけではない。4年生の城田航、2年生の吉田光汰も練習から競り合いの強さを見せている。川崎監督が10区候補として頭に浮かべるのはひとりだけではないが、本人の思いは強い。

「前回よりも自信はあります。自分が最後に抜いて、チーム目標の6位でフィニッシュしたいです」

 目指すのは区間3位以内。今回こそは長所を存分に生かし、笑顔で締めくくるつもりだ。

 3年生の石綿には、その先に抱く夢もある。10区で実力を証明し、大学のラストイヤーは「往路で勝負したい」という。ただの憧れではない。旧友とのたすきリレーに思いを馳せている。同期で副将を務めるエースの髙橋翔也は、千葉県の松戸市立小金北中学校時代の同級生。当時、石綿はサッカー部、髙橋は野球部だった。2人とも陸上競技部の助っ人として駆り出されて、一緒に駅伝を走った仲である。高校は市立松戸(石綿)と市立船橋(髙橋)と別々の道に進んで陸上競技に情熱を傾けたが、大学で再会した。前回はともに箱根路を踏み、髙橋は2区を走った。そして、今回も2人は往路と復路に分かれることが予想される。

「(髙橋)翔也に2区で流れをつくってもらい、僕は10区で頑張ります。でも、その次は2人でたすきをつなぎたい。翔也は2区を走りたがっているので、僕が1区か3区にいかないと。このことを本人に話すと、照れ屋なのか反応は薄いんですけどね」

 大手町で雪辱を果たしたとき、次の大きな夢が待っている。

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