第96回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER

強力二枚看板で往路に自信の創価大学。
筑波大学26年ぶりの箱根路は“覚悟”の賜物。

posted2019/12/12 11:00

 
強力二枚看板で往路に自信の創価大学。筑波大学26年ぶりの箱根路は“覚悟”の賜物。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga / Shigeki Yamamoto

text by

箱根駅伝2020取材チーム

箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020

PROFILE

photograph by

Yuki Suenaga / Shigeki Yamamoto

今回で96回目を数える東京箱根間往復大学駅伝競走。例年以上の大混戦が予想される2020年1月の箱根路では、21チームが健脚を競う。特色豊かな各チームの見どころとキーパーソンを、それぞれ紹介する。

創価大学

第96回箱根駅伝予選会:5位
第95回箱根駅伝(前回大会):不出場
3年ぶり、3回目

Key person of the TEAM:築舘陽介(4年)

適材適所の区間配置で狙うシード権。
主将は悲願の“山上り”での快走誓う。

文=折山淑美

 第96回箱根駅伝予選会で5位に入り、3年ぶり3回目の箱根駅伝本大会出場を決めた創価大学。今大会では前回出場時の総合12位を上回る結果を狙っている。

 今年4月に就任した榎木和貴新監督は、「月間走行距離750km」という目標を設定。練習以外の部分でも、実力に関係なく、縦割りで5~6人のグループを作って行動させることで、これまで少し希薄だったチーム意識が選手の間に根付いたという。

 チームのエースは、箱根駅伝予選会の全体7位で、11月には10000mのベストタイムも自身初の28分台となる28分30秒59まで伸ばした米満怜(4年)。そして米満とともに部員を引っ張るのが、主将の築舘陽介(4年)だ。築舘は箱根駅伝予選会でも集団をコントロールする走りを見せ、1時間5分25秒でまとめた。

 榎木監督はエースの米満だけでなく、築舘にも大きな信頼を置く。

「米満と築舘のふたりは、確実に練習を積み上げるタイプで、自主練習にしている休みの日もしっかり走るし、それが当たり前として動いてくれる。それで他の選手も引っ張られて走るようになり、チーム全体の走力もあがってきました」

 築舘の10000mのベストは3年時に出した29分54秒26で、本人も「最低限のタイム」と言うが、トラックよりロードレースを得意にしていてチームでもロードメインのグループに入っていることもあり、トラックレースを走る機会が少なかったという理由もある。

築舘が入学時から目標にする5区。

 出身高校は駅伝の名門である長野県・佐久長聖高校。今回の箱根駅伝のエントリーからは外れたが、大学駅伝で活躍を見せてきた東海大学の關颯人(4年)らと同期で、全国高校駅伝にも3年時に初出場して6区区間9位に入っている。だからこそ「元チームメイトたちにひと泡吹かせてやりたいという気持もある」と笑顔を見せる。

「全日本大学駅伝で快走して優勝テープを切った名取(燎太/東海大)は1学年下ですが、同じ中学の出身で高校も一緒なんです。あの走りを見て『負けられない』という気持ちになっています」

 そんな築舘が、創価大に入学した時から目標にしているのは5区だ。

 その目標は本来なら、2年ぶりの出場だった1年生の時に果たしているはずだった。入学早々の4月に10000mで30分27秒87の自己新を出した築舘は、その年の箱根駅伝予選会ではチーム7位の1時間1分30秒(※当時は20km)に入り、3位での箱根駅伝本大会進出に貢献した。

 本大会でも直前までは5区を走る予定になっていたが、本番1週間前から調子を崩して自信を失ってしまい、箱根駅伝予選会に出ていなかった別の選手にその座を譲った。その後は2年間チームが本大会出場を逃しているだけに、彼にとっては4年目にしてようやく実現させるチャンスが巡ってきた5区なのだ。

「出身の長野県富士見町は坂ばかりのところでしたし、高校時代も山を使った練習があったんですが、それも得意だという感覚もありました。そういう練習では、インターハイで入賞するような選手とも互角に戦えていたという経験も自信になっています。箱根駅伝でも他の区間だったらまだ他校のエース級には太刀打ちできないけど、山上りであれば戦えるなというイメージも出来ています。だから5区が、自分が一番チームに貢献できる区間かなと思っています」

【次ページ】 起伏を使った練習ができる強み。

1 2 3 4 NEXT

ページトップ