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2歳王者サリオスの底しれぬ強さ。
超ハイペースを前から押し切る完勝。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2019/12/16 12:00

2歳王者サリオスの底しれぬ強さ。超ハイペースを前から押し切る完勝。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

朝日杯を抜けた存在感で勝利したサリオス。一冬越してクラシック戦線でも中心になることは間違いない。

他の上位馬は後方待機勢のみ。

 他の有力馬の道中の位置取りを見ると、2番人気のタイセイビジョンは、先頭から8馬身ほど離れた後方、3番人気のレッドベルジュールはそのすぐ内につけていた。それぞれに騎乗していた武豊とクリストフ・スミヨンは「しめしめ」と思っていたのではないか。

 現に、タイセイビジョンは直線で馬場の真ん中から猛然と追い込み、ラスト200m付近では、一瞬、突き抜けるかに見えた。が、2着までだった。勝てばGIコンプリートに王手をかけることができた武は、朝日杯20度目の騎乗で、5度目の2着となった。

 その外から3着に追い込んできたグランレイも、4着に来たタガノビューティーも、序盤はタイセイビジョンよりさらに後ろに控えていた。

 結果的に、先行勢で上位に残ったのはサリオスだけだった。

 要は、激流のなか前につけ、後ろを突き放したサリオスの強さがずば抜けていた、ということだ。

3年連続で6月デビューの馬が勝利。

「すべて思いどおりだった。コーナーで幼さを見せながらこのタイムを出した。もっと速く走れます。体が出来上がっていて、頭がいい。ぼくがファンなら、この馬を追いつづける」

 そう話したムーアは、これがJRA・GI8勝目。朝日杯は'13年アジアエクスプレス以来の2勝目となった。

 サリオスの馬体重は538キロ。レース史上もっとも重い馬体重での優勝となった。

 6月2日の東京新馬戦を勝ったこの馬が1着、同日の阪神新馬戦を勝ったタイセイビジョンが2着と、世代開幕週の新馬戦でデビューした馬のワンツーフィニッシュ。

 '17年ダノンプレミアム、'18年アドマイヤマーズにつづく3年連続の無敗制覇になったと同時に、3年連続、6月デビューの馬による優勝となった。

 素質ある牡馬を早めにデビューさせ、いったん休ませて成長を促しながら2歳王者を目指すというのが、近年のトレンドになっている。

【次ページ】 父は晩成型のハーツクライ。

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