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アルベルティーニ化する橋本拳人。
浮き球パスのお手本は大久保嘉人!? 

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byGetty Images

posted2019/12/14 09:00

アルベルティーニ化する橋本拳人。浮き球パスのお手本は大久保嘉人!?<Number Web> photograph by Getty Images

2019年、橋本拳人は日本代表に定着した。育成年代から彼を知る人々は、その成長ぶりに誰もが目を細めているはずだ。

華麗だけど守備時にガツガツと。

 イタリア代表でもミランでも、チームの重心位置に立ち、プレーしたMF。'94年のW杯では上背のあるディノ・バッジョと、ミランではフランス代表のセンターバックを務めたマルセル・デサイーとそれぞれボランチのコンビを組んだ。

 フィジカルに長けた選手が相棒になることが多く、余計に「アルベルティーニのプレースタイル=華麗」という印象がついた。

 ただ、守備になればそこはカルチョの国の選手である。泥臭いプレーも厭わず、球際目掛けてガツガツ行くファイター気質も実は持ち合わせていた。名将アリゴ・サッキが実践した組織的なプレッシングサッカーで重宝された申し子。

 その意味で、非常に攻守のバランスがとれた、現代でも十分活躍できるタレントだった。

東慶悟「前なら絶対に……(笑)」

 さて、橋本の話である。

 橋本は最近、浮き球を狙うようになった。不器用で、パスセンスに長けるとは言えなかった以前の彼からすると、少々驚きである。

 ここ1、2年、縦パスやサイドチェンジのパスの練習を繰り返し、昨季あたりから徐々に成長の跡を試合でも残すようになった。そして今季は、相手守備陣の背後を突く一撃パスを狙うまでに。意識の変化ひとつで、選手は目に見えて成長する。それを橋本は体現している。

 優勝争いした今季のFC東京では、大事な終盤戦で橋本の浮き球が勝利を呼び込んだ。

 11月9日、J1第31節のジュビロ磐田戦。0―0で迎えた後半、橋本が中盤でボールを受けて前を向いた。すると、DFライン裏目掛けて右サイドバックの室屋成が即座に走り出した。

 橋本は右足をしならせるように振る。蹴り出された浮き球パスは室屋が走り込んだ足元にポトリと落ちた。慌てたDFは室屋を倒してしまい、PKの判定。それをディエゴ・オリヴェイラが決め、1-0でFC東京が勝利した。

 何より、このパスに一番驚いていたのが、チームメイトだった。キャプテンの東慶悟が、のちにうれしそうにこう話した。

「あのジュビロ戦の拳人のパス、PK獲得につながった(室屋)成への浮き球パスなんか、以前は出せなかったと思う。前なら絶対にゴールライン割っていましたよ(笑)」

【次ページ】 マリノス戦でも圧力をかわして。

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