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オリ、巨人がメジャー大物を獲得。
背景はベテランに広がる不信感。
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byGetty Images
posted2019/12/14 11:40
アダム・ジョーンズは昨年ダイヤモンドバックスで137試合に出場。打率は.260、16本塁打、67打点を記録した。
冷え切った市場から「窓際」に。
これまで所属チームの主軸として活躍してきたジョーンズ、パーラは、ともに30歳代を超えてFAとなった昨オフは行き先が一向に決まらず、キャンプイン前後にマイナー契約の招待選手からスタート。その後、メジャー契約に切り替えるなど、まさに綱渡りのシーズンを送った。
同オフは、若きスーパースター、ブライス・ハーバー(現フィリーズ)、マニー・マチャド(現パドレス)ら超大物選手の動向が定まらない冷え切った市場の悪影響を被り、不安定な立場のまま、開幕を迎えた。
しかも、開幕後の定位置も確定せず、特に序盤戦は常に結果を求められる立場に立たされながらシーズンを送った。
年俸の高低に関わらず、才能豊かな若手の有望株に定位置を奪われるのが「世の常」とはいえ、身体的には高いレベルを維持しながらも、年齢を基準に判断され、出場機会が制限される「窓際」に追いやられるとすれば、実績を残したトップメジャーが納得するはずもない。
極端な世代交代にNPBが目をつけた。
迎えた今オフ、そんなメジャーの極端で急速な世代交代に目を付けたオリックスと巨人の海外編成担当は、独自の情報網を駆使して日本行きを視野に入れるメジャー選手をリストアップした。
交渉解禁となるやいなや、間髪を入れずに具体的な調査とアタックを開始し、ともに丹念な交渉を続けた結果、常識的な範囲内の条件で契約にこぎつけた。
不安感が漂うメジャーでプレーする以上に、異なる環境ながら日本野球を経験する魅力を伝え、トップメジャーのプライドを尊重することで、劇的な契約に成功した。
無論、今もなお、メジャーが野球界の最高峰であることに変わりはない。その一方で、かつてのステロイド時代、昨今の「飛ぶボール」、「サイン盗み」など、長い歴史上、負のベクトルも少なくない。
すべてを数値化し、データ偏重のデジタル野球が今後も加速すれば、「オールド・スクール」で育ったベテラン選手が、異なる野球観に違和感を覚え、本来の持ち味を生かせず、別の舞台に活路を求めるのは、当然なのかもしれない。