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エメリに続いてシウバも解任決定。
短命化のプレミア、次の犠牲者は?
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byUniphoto Press
posted2019/12/10 11:30
鎌田大地の2ゴールによってアーセナル監督の任を解かれたエメリ。プレミアの監督解任は今後も続くのだろうか。
上層部は長期的視野で支持した。
それでも上層部はクロップを全面的に支持していた。オーナーのジョン・W・ヘンリーが「一朝一夕にして完成するものなどありえない」と語り、トム・ワーナー会長も同調した。「我々は長期的な視野に基づき、リバプールを再編する。1年や2年で監督を替えるようなことはしない」。また、選手たちもクロップに心酔していた。
「監督は人として、男として憧れの存在だ」(サディオ・マネ)
「監督のおかげで、いまの俺がある」(アンドリュー・ロバートソン)
監督にとっては最良の環境である。もちろん、クロップが優れた指導者であるからこそ上層部は辛抱し、選手は信頼したのだろう。
8位に終わった2015-16シーズンも、“ヘヴィメタ・フットボール”の一端はうかがえた。戦力が揃うに連れて闘い方は凄みを増し、昨シーズンはヨーロッパの頂点に立った。今シーズンのプレミアリーグでも独走している。クロップは上層部と選手の期待に応え、失礼千万なOBの鼻を明かした。
マンCやボーンマスにも信頼関係が。
監督に明確なビジョンがあり、多くの選手と太い絆で結ばれていると、在任期間はおのずと長くなるものだ。クロップしかり、4シーズン目を迎えたジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ)しかり、ボーンマスのエディー・ハウとバーンリーのショーン・ダイシはともに8年も指揮している。
「大金を支払っているのだからすぐに答を出せ」と上層部はせっつき、「もっと時間をくれ」と監督は現場の難しさを訴える。在任期間が長いか短いかは、立場によって受け取り方が違う。ただ、ゲームプランに難があったり、選手と信頼関係が構築できなかったりした場合は、早期解任が避けられなくなってきた。
12月のプレミアリーグは過密日程だ。建て直せないうちに次の試合がやって来る。きっとだれかが無職でクリスマスを、2020年を迎える。