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バド女子ダブルスの勢力図に変化?
韓国勢の躍進、東京五輪争いの行方。
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byItaru Chiba
posted2019/12/10 18:00
世界選手権決勝で戦ったフクヒロ(左)とナガマツ。リオ五輪メダリストのタカマツとの代表争いに目が離せない。
リオ金のタカマツにチャンスは?
現在、世界ランクでは日本人最上位の2位福島/廣田は92252ポイント、3位の永原/松本は91433ポイント、そして高橋/松友が84272ポイントで4位につける。永原/松本と高橋/松友の差は7161ポイント。高橋/松友ペアはワールドツアーには出場できないが、残り4カ月のツアーで優勝、ないしは準優勝すれば逆転する可能性は十分にある。しかし、福島/廣田、永原/松本も五輪代表枠がかかっているだけに確実に結果を残してくるはずだ。
「厳しい状況ではありますが、底力があるペアです。五輪も一度経験していますし、プレッシャーのかかった試合では最も力を発揮できるペアだと思います。9月の中国オープン以降は(ワールドツアーSUPER500以上の大会で)ベスト4以上がありませんが、年が明けたら流れが突然変わっていることもあります。二人がどれだけ意地を見せてくれるのか期待したいですね。まずは1月のマレーシアマスターズ、インドネシアマスターズが、1つのポイントになってくると思います」(藤井)
東京五輪の出場権を掴むのがどのペアなのかは、もちろんまだ誰にも分からない。
「メンタル面の充実がカギ」
最後に、メダル獲得のためには何が重要になるか、藤井にたずねてみた。
「ロンドン五輪のとき、私は日本の情報はほとんど見ていなかったんですが、準決勝前に一夜でツイッターのフォロワー数が3000人から3万人に急上昇したことがあって。自分がこれだけ注目されているんだと思ったら、“メダルを獲らなきゃいけないんだ”って本当に息ができなくなるくらい準決勝では大きなプレッシャーを感じました。後にも先にも、自分のプレーが出せなかったって思ったのはその試合ぐらいしかないんですよ。今回は東京で開催されるわけですから、選手たちは(五輪を経験した)私たちでさえも想像できない域でプレーすることになります。
だからこそ、どれだけ平常心でプレーできるかが重要になる。多くの観客や関係者の方々いるなかで、純粋に勝ちたいという気持ちや自分のプレーをしようと考えられる選手はなかなかいません。心を『無』にもっていくのは至難の業ともいえますが、メンタル面の充実が東京五輪でのメダル獲得のカギになると私は見ています」