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J2降格ジュビロ、監督続投も……。
「強化の責任はどこにあるのか」 

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望月文夫

望月文夫Fumio Mochizuki

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photograph byJ.LEAGUE

posted2019/12/03 18:00

J2降格ジュビロ、監督続投も……。「強化の責任はどこにあるのか」<Number Web> photograph by J.LEAGUE

J2降格が決まった後、横断幕を磐田サポーターたち。クラブを愛するがゆえの言葉だろう。

「今のままではJ2を勝ち上がるのも……」

 新指揮官を招聘し、残留へと浮上を目指すチームには、水を差す出来事も起こった。

 熾烈な選手間の競争とチームが結果を出せない状況下で、出場機会が多い選手とそうではない選手の中に1つにまとまり切れない感情が芽生えていく。そんな中で行われた紅白戦で、主力組とサブ組の選手が接触プレーを巡ってピッチ上で衝突。現場には毎日のように練習に顔を見せる強化部スタッフがいたが、「見ていなかった」と何の対処もしなかったのだ。

 チームが1つにまとめるべき大事な時期に、ましてケガの危険もある場面でのスタッフの行動に、他クラブの状況を良く知る選手は「強化部が連日、練習場にいることにも違和感があるし、目の前で起こったことに何もしないとはね」とあきれ顔だった。

 その結果、終盤の大事な場面で選手たちがコミュニケーションを高めるために以前は行われていた「決起集会」も、「やれるムードではなかった」と中堅選手。チームが真にまとまりを見せることは、少なくともシーズン終盤にはなかったという。

 そして、来季待っているのはJ2だ。

 リーグ王者3度の名門には、初めて降格した2014年以来、6年ぶり2回目の屈辱だ。選手もスタッフも「必ず1年でJ1復帰する」と口を揃えたが、決して楽な道でない。前回の降格時もJ1昇格まで2年を要している。ある若手は「今のままではJ2を勝ち上がるのも厳しいと思う」と改めて現実と向き合い、自らの兜の緒を締めた。

フベロ監督の続投は決まったが……。

 磐田は降格から3日後の12月3日、フベロ監督の来季続投を発表した。

 小野社長は「フベロ体制になってから、チームは躍動感あるサッカーをしているし、監督の目指している戦術も確実に浸透してきている」と指揮官を高く評価。それを受けたフベロ監督は「このクラブが居るべきJ1に1年で戻るために、すぐに練習を始める」と最短での昇格に意欲と自信を覗かせた。

 ただ、ある解説者はこう明言する。

「降格した責任の所在をはっきりさせないと、選手がついてこない。フロントの体制などもできるだけ早く決定するべきだ」

 J2降格に加えチームが1つにまとまらないムードの中、主力を含めた大量流出も予想されるが、今後クラブは人事を含めどんな方針を打ち出していくか。1年でのJ1復帰には、その方向性が大きく関わってきそうだ。

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#ジュビロ磐田
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