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J2降格ジュビロ、監督続投も……。
「強化の責任はどこにあるのか」
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/12/03 18:00
J2降格が決まった後、横断幕を磐田サポーターたち。クラブを愛するがゆえの言葉だろう。
エースの移籍、監督交代でも。
その後は徐々にフィットしてきたロドリゲスがエースとして名乗りを上げたが、黒星先行の流れは変えられず、序盤から2ケタ順位に低迷。そして、1-3と完敗し、最下位に転落した第17節川崎フロンターレ戦後に6シーズン目の指揮を執っていたクラブOBの名波浩監督が責任を取って辞任した。
コーチから昇格したOBの鈴木秀人監督が引き継いだが、その後も浮上する可能性を見いだせず、追い打ちをかけるように、孤軍奮闘していたロドリゲスが移籍。その直前にはチームの精神的支柱として、2017年シーズン6位浮上にも大きく貢献したMF中村俊輔の移籍も重なり、名門は一気に窮地に立たされることになった。
ケガや流出で不在となった人員を埋めるため、ようやくクラブが補強に本腰を入れたのは7月。しかし、それ以降に加入した外国籍選手3人、元日本代表ら日本人選手2人のうち、その後スタメン組に定着したのはわずかにFWルキアンだけ。現場とフロントが噛み合わない状況を改めて露呈することになった。
追い風となったフベロの就任。
そんな名門に追い風が吹き始めたのは8月。今季、クラブ4人目の指揮官としてスペイン人のフベロ監督が就任してからだった。トップレベルでのプレーヤー経験はなく知名度も高くないが、スペイン・バルセロナの下部組織に関わり、その後は南米・パラグアイリーグで手腕を発揮。同リーグでの優勝経験を持つ期待の指揮官だった。
「残留させる自信がある」と明確な目標を掲げスタートし、これまでよりも明らかに強度を高めた練習メニューには、選手たちも「厳しさに可能性を感じる」と手ごたえを口にした。試合形式の練習も多く、次節の相手を想定した戦術の徹底に加え、選手を大きく入れ替えるなど熾烈な競争意識も植え付けていくなど、浮上へのムードは徐々に高まった。
第24節セレッソ大阪戦から試合で指揮を執り、第33節名古屋グランパス戦までの10試合で4勝1分5敗。降格した33節までの直近5試合で勝点10を上乗せした。今季前半戦の成績を考慮すれば、低迷チームを短期間で大きく上向かせた功績と期待は大きいが、時すでに遅かった。