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優勝目前マリノスが提示する先進性。
松原健「従来のSBとは180度違う」。 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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posted2019/12/02 12:00

優勝目前マリノスが提示する先進性。松原健「従来のSBとは180度違う」。<Number Web> photograph by Getty Images

横浜F・マリノスと松原健には欧州最先端のエッセンスを感じる。12月7日、日産スタジアム。結実の時は目前だ。

「そりゃもう、めちゃめちゃ楽しい」

「このチームに固定ポジションの概念はない」とポステコグルー監督は言う。ボールを受けて離したら、どの選手もなるべく前のスペースへ動き、スピーディーなポゼッションを高めてゴールを目指す。

 システムは4-2-1-3や4-3-3と表せるものだが、攻撃の際にその数字の並びはあまり意味を持たない。

 この先進的な手法が2年で熟成し、内容と結果が両立するようになっている。当事者たちは面白くて仕方がないだろう。

「そりゃもう、めちゃめちゃ楽しいですね」と松原は試合後に話した。表情には充実感が満ちている。

「従来のSBとは180度違いますけど、あれだけ色んな場所でボールにさわれて、高い位置からラストパスまで出せる。時にはインナーラップだけでなく、SBらしくオーバーラップもできます。役割が多すぎて、頭がパンクするかなと思った時期もあったんですけど、最近は感覚的にやれているところがあって、本当に楽しんでいます」

出番を得られない時期も腐らずに。

 あの2点目のシーンを少し遡ると、自陣でボランチがパスを交換した瞬間に、松原は右の低い位置から敵陣中央のスペースに猛然と走り込み、ボールを受けた。これまでなら、そこから同サイドの仲川にパスを出すことが多かったが、この日は序盤にも中央のエリキへ決定的なボールを送っている(オフサイドの判定でゴールは認められず)。

「あの時に今日はここが結構、空くんだなと感じていて。後半にもうまくそういう状況を作り出し、得点に繋げられてよかったです」

 晴れやかにそう語る松原だが、今季は出番を得られない時期が長かった。でもそんな時も「仲間に救われ」ながら、腐ることなくハードワークを続け、第26節のサンフレッチェ広島戦で第8節以来となる先発のチャンスを獲得。以降はフル出場を続けている。

【次ページ】 大津の熱い抱擁に込められた意味。

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