球体とリズムBACK NUMBER
優勝目前マリノスが提示する先進性。
松原健「従来のSBとは180度違う」。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2019/12/02 12:00
横浜F・マリノスと松原健には欧州最先端のエッセンスを感じる。12月7日、日産スタジアム。結実の時は目前だ。
大津の熱い抱擁に込められた意味。
あのチーム2点目の直後、スコアラーのエリキがマリノスサポーターのもとへ向かい、ベンチメンバーたちを含めて、多くの仲間が激しく祝福し合った。その後にまだ投入されていなかった大津が、アシストを決めた松原に駆け寄り、エモーショナルに強く抱きしめていた姿が印象的だった。
「祐樹君もスタメンで出ている回数は少ないですけど、常にやるべきことをしっかりやっています」と背番号27をまとう右SBは語る。
「練習でもチームに良い雰囲気をもたらす言動やプレーをしてくれる。そういう仲間なので、あの熱い抱擁には、色んな意味が込められていたのかなと思います」
そんな風に松原は、才能だけでなく、周りの人にも恵まれてきた。大分県宇佐市出身の彼は、浦和レッズの元日本代表GK西川周作と同郷で、「シュウ君には、小さい頃から良くしてもらった」と明かす。
「今でも対戦すると快く話しかけてくれます。最近ではインスタで『絶対に優勝しろよ』とメッセージをもらいました。これも頑張れる要因のひとつかな」
「とにかく今は、優勝したい」
大分トリニータのU-22日本代表DF岩田智輝は、松原にとって「ちっちゃい頃から一緒にサッカーをしていた」仲間だ。「あいつが今、代表で活躍していることはすごく嬉しい。このまま五輪に行ってほしいですね」と後輩にエールを送る。
故郷を共にする新旧の代表選手の話が出たら、好調の自身にもそんな質問が向けられて当然だ。2014年W杯後の最初の代表戦で初招集された(出場はナシ。以降は選出されていない)場所へ再び戻りたいでしょう、と記者に尋ねられると、「何か言わせようとしていますよね?」と笑いを誘ってこう続けた。
「あの時は(当時就任したばかりのハビエル・アギーレ)監督が(主力として)呼んでくれたわけではないと思います。それでも光栄でしたし、短い期間でもたくさん刺激をもらえた。でも今は代表のことは考えていない。チームでポジションを確保するのが先決ですし、とにかく今は、優勝したい」