ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
日本ハム広報が考えるSNSの使い方。
球団&選手の情報発信に不可欠だが。
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph byKyodo News
posted2019/11/26 20:00
新入団会見やファン感謝イベントの様子はSNSでも情報がアップされていた。
情報共有先が限定されているのに。
翌日。札幌市時計台で、新入団発表を開いた。
式典が始まる1時間ほど前に、また前日と同じ男性が姿を現した。市のシンボルの1つでもある同所は、パブリックスペースである。
入場制限はエリアを限定して、時限的に設定していたが、観光客の方々など球団関係者以外も入場に関しては自由である。その男性をとがめることも、拒否することも、注意もできないのである。幸い、モラルを逸脱したような行動も見受けられなかった。
前述した出来事、またその男性は、あくまで一例であることは断っておく。
その上で苦慮しているのが、情報共有先が限定されているにも関わらず、その対象以外にも漏れている点だ。シーズン中も同様である。常宿している宿舎などではなく、イレギュラーな行動パターンを事前に知っているとみられるケースが散見される。一軍、二軍問わずに、珍しくはない。
ある事例では、選手が宿舎から外食するために徒歩で向かうと、それを尾行。焼肉店の前で食事が終わるまで数時間待ち伏せをし、サインを求められたことがあった。
プライベートな時間でもあり、もちろん対応をお断りすると、少し離れてから聞くに堪えない言葉を掛けられたという。新幹線ホームに入場券で立ち入ったとみられる少年の集団に、サインや握手などを求められる場合も少なくない。
ある選手から聞いたSNSの使い方。
選手も人間である。お願いをされて断るという行為は、心が痛む。情報が漏れていることによって、選手が嫌な思いをしているケースがあるのかもしれないのである。
情報伝達のスピード、利便性が高いスマートフォンや付随するSNSの普及などによって選手側も、細心の注意を払っていたりもする。
ある選手から聞いたが、会食先などで食事シーンをアップするケースは、リアルタイムでの更新は避けるのだという。すぐにお店を特定され、そこにファンが押し寄せることに対するリスクマネジメントなのだそうだ。
プライベートで出掛けているところを思いがけず撮影された画像が即時、出回っているようなこともある。また居合わせた飲食店内で記念撮影に厚意で応じたが、そのデータが本人の知らない範囲まで流されていったこともあった。