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新しい地図・草なぎ剛×車いすバスケ。
「“一心”でメダルを獲りに行く」
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/11/29 08:00
きれいなシュートフォームを見せる(左から)鳥海連志、草なぎ剛、豊島英。車いすバスケに新たな歴史を築こうとしている。
同じローポインターでも違う役割。
草なぎ じゃあおふたりの存在って、持ち点という意味でもすごく重要になってきますね。素朴な疑問ですが、同じローポインターでも、プレースタイルや持ち味はそれぞれ違ってくるんですか?
鳥海 それぞれ抱える障がいが違う中でも、僕の場合は特例で、上肢障がい(右手指が1本、左手指が3本欠損)があって、パスもシュートも左手ではできません。逆に、下半身の障がいは軽度。だからスピードやチェアワークは、ほかのローポインターと比較してもそれなりのレベルにあると思います。
片輪を上げて高さを出す「ティルティング」など、大きいアクションでプレーすることで、相手チームのローポインターとのマッチアップで違いを作りだすことを意識しながらプレーしています。
豊島 僕はディフェンスが持ち味かな。スピードを活かしたスティールだったり、相手のハイポインター(持ち点3.0以上で、障がいの程度が軽い選手)を抑えるアグレッシブな動きだったり。海外のチームは高さを使ってくるので、リングに近づけたくない。
だから引いて守るのではなくて、ゴールから遠ざけるためのアグレッシブな守備が大事になってきます。この点をチームとして徹底することで相手はどんどん苦しくなる。今はガンガン行ける選手が揃っているので、守備のプレッシャーは世界に通用する大きな武器だと思います。
豊島が筆で書いた「一心」。
鳥海 あと、攻守両面で誰がリーダーシップをとるかはゲームを左右するので、豊島さんの存在は本当に大きい。司令塔としての力は、豊島さんには絶対に敵いません。
草なぎ お話を伺っていると、豊島さんのキャプテンシーは凄いですよね。それって天性のものですか。
豊島 いやいや(笑)。キャプテンのあるべき形とかもわからないので……。
鳥海 この間の大会のミーティングで、豊島さんがチームの心を一つにして戦おう、という意味で「一心」という言葉を筆で書いてくれたんですよ。自分たちがそれぞれ持ってる気持ちや大義が一つになるように、その言葉を作ってくれたんだと思います。
草なぎ いい言葉だなあ。舞台稽古の初日に使おうかな、「一心」。
豊島 あんまり「やってます感」は出したくないので、基本的には見えないところで動いているんですけど(苦笑)。