語ろう! 2020年へBACK NUMBER
新しい地図・草なぎ剛×車いすバスケ。
「“一心”でメダルを獲りに行く」
posted2019/11/29 08:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Takuya Sugiyama
車いすバスケットボール日本代表が、東京パラリンピックに向けて勢いに乗っている。昨年の世界選手権では9位に終わったものの、今年8~9月に行われた「三菱電機WORLD CHALLENGE CUP 2019」で同4位の強豪国イランを破り、メダル圏内の実力を証明したのだ。
本番まで1年を切り、目標とするメダルへの道筋は見えているのか。リオパラリンピック後から代表でキャプテンを務める豊島英(あきら)と、17歳でリオを経験した新鋭、鳥海(ちょうかい)連志。代表争いも激しさを増す中、ともに中心選手として、来年の活躍が期待される2人に話を聞いた。
日本代表に15歳にして初選出。
草なぎ 鳥海選手はまだ20歳ですよね? 若いなあ。しかも日本代表に初めて選ばれたのは15歳! いきなり年上の大人に囲まれて、最初はドキドキしたでしょう。
鳥海 当時はまだ同世代の選手もいなかったので、はじめての合宿は緊張しました。海外でプレーする先輩もいたし、とにかくみんな自分より上手かったので。
豊島 緊張してたの? そうは見えなかったけど。今の代表候補選手の年齢層は最年長が39歳と幅が広いんです。車いすバスケはクラブチームには40歳超えてる人もいるので、年上とのプレーには抵抗ないと思うんですけど……どうですか?(笑)
鳥海 もちろん、今はまったくないです。
草なぎ キャプテンの豊島さんから見て、鳥海選手はじめ若い選手の存在は、チームにどういう影響を与えていますか。
豊島 試合では、若手の勢いで流れが来ることも多いです。それに刺激を受けて、全員が奮起し、相乗効果でチーム全体のレベルが上がってくる。その意味で必要不可欠な存在ですね。
僕が初めて代表に入った'12年のロンドンパラリンピックの頃は、プレーに関することもそうですし、代表として活動する上で必要な些細なことも年上の選手とシェアできていなくて、それがストレスにもなっていました。だからこそ自分がリオのあとにキャプテンに就任して、まずはじめに考えたのがチームの一体感の作り方でした。若い選手の意見を積極的に聞いてあげたり、ベンチでも声出しの方法を変えたり。
鳥海 豊島さんはリオの前からずっと僕のことを気にかけてくれて、ミスした時にもフォローしてくれた先輩です。僕は長く年上の方々と接してきたので意見を言いやすいですが、どうしても若い選手は、先輩に対して意見を言いづらい面があると思う。
今は19歳の赤石(竜我)選手のような年下の選手もいるので、同世代の選手から意見を引き出してあげることを僕も意識しています。そうすることで、チームとしていい環境を作り出せると思うんです。
草なぎ うーん、しっかりしてる。僕が20歳の頃とは全然違うな(笑)。