福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史が2019年の森保Jを総括。
南野拓実の充実と、序列での懸念。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byJFA/AFLO
posted2019/11/20 20:00
代表で新たな軸になりつつある南野拓実。彼に続く選手の出現に期待したい。
もう1度、日本代表で戦う意味を。
南野らがしっかりとした軸となっているからこそ――話は戻りますが、ベネズエラ戦に出た選手たちはもう1度、日本代表で戦う意味を見つめ直してほしいです。この試合、森保監督には選手層を厚くする狙いがあったはず。そのために起用した選手たちが、結果を残せなかった。この意味は重いです。
森保監督体制の日本代表は、誰が出ても世界に通用するチーム作りをベースにしています。例えば2列目では南野や中島、堂安(律)がまず結果を残して、伊東(純也)や久保(建英)といった選手も定位置を狙うなど競争がある。
その一方で最終ラインは中央が吉田(麻也)と冨安(健洋)、もしくは植田(直通)か昌子(源)、サイドは長友(佑都)と酒井(宏樹)が中心で、ここに食い込めている選手が少ない。主力とそれ以外の選手の差が開き続けるとすれば……今後が心配になります。
特に国内組はこのままだと「Jリーグで通用しているプレーでは、世界相手には通用しないんだな」と見られてしまう。だからこそ毎週戦っているJリーグのレベルを引き上げてほしいし、現状のプレーで満足してはいけない。
序列を崩した2004年のアジア杯。
代表戦でチャンスは何度も与えられるわけではない。それは今も昔も変わりません。たとえば自分の現役時代、ジーコジャパンの立ち上げ当初のことです。海外組との序列差が明らかにありました。ただそれぞれが何とかしてその序列を覆そうとした。それが2004年のアジア杯制覇に繋がりましたし、ジーコ監督の起用法にも変化が起きた。
だから親善試合1つ取っても、代表戦で出慣れていなくても、1回の交代出場でインパクトを残す必要がある。古橋からはその気持ちを感じましたが、彼くらいの野心をもっと持ってほしい。
国内組はこんなレベルの選手たちではないはず。12月にはE-1選手権が控えています。シーズン終了直後でコンディション面で難しい部分があるのは間違いない。それでも、Jリーグを代表する立場として、意地を見せてほしいです。
(構成/茂野聡士)