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福西崇史が2019年の森保Jを総括。
南野拓実の充実と、序列での懸念。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byJFA/AFLO
posted2019/11/20 20:00
代表で新たな軸になりつつある南野拓実。彼に続く選手の出現に期待したい。
2次予選全勝は評価できる。
さて海外組が参加する2019年の代表戦は、このベネズエラ戦がラスト。今年は準優勝したアジアカップ、東京五輪世代を中心に臨んだコパ・アメリカ、そしてW杯アジア2次予選と様々な公式戦に挑みました。
コパ・アメリカはグループステージ敗退でしたが、東京五輪世代の選手中心でよく戦ったと思います。そしてW杯アジア2次予選もキルギス戦までの前半4試合を4連勝、13得点無失点。今回の予選ではイラン(11月20日時点で首位と勝ち点差5の3位)をはじめとして、いわゆる強豪国が苦戦を強いられています。
驚きと同時にアジアカップを振り返れば優勝したカタールを筆頭に、ベトナムなども力をつけていて、各国の実力差が縮まっている印象です。
日本が今回対戦したキルギスも以前と比べれば攻守の切り替えがとても速くなって、サッカーとして形になりつつある。日本は対戦相手に恵まれた、と見られがちな中でも全勝したことは、しっかりと戦えていた証拠です。
「動き出しの質」が上がった南野。
そのキルギス戦で自ら得たPKを決めて、W杯予選4試合連続ゴールをマークした南野(拓実)はこの1年間で最も存在感を高めた選手と言っていい。
もちろん大迫(勇也)も欠かせない選手ですが、ロシアW杯から彼は主力でしたからね。この体制での成長も含めて南野は頼れる存在になったなと。
南野で注目してほしいのは「動き出しの質」が大きく向上したこと。以前はボールをもらってからの技術で勝負するのが持ち味でしたが、もらう前の動きが洗練されたことで、プレー全体に余裕が生まれています。
たとえば1トップが大迫なら、ポストに入った大迫を飛び越す形で裏に抜けたり、スピードで勝負する永井(謙佑)なら、中盤で動くことで永井が抜け出せるスペースを作るなど、他の選手を生かす動きができる。その上で南野はシュートチャンスに持っていける回数が多く、トップ下として安定感が出てきていますね。