ぶら野球BACK NUMBER
「野球の日本代表」が定着してきた。
プレミア12で感じた成熟と真剣勝負。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byYasutaka Nakamizo
posted2019/11/21 20:30
観客が少ないと言われたプレミア12も、日本対韓国の決勝戦は超満員。野球の代表を取り巻く雰囲気もずいぶん変わった。
テレビ中継の煽りすぎは醒める。
しかも、事前のプレミア12という大会の説明が、WBSC世界野球ランキングを元にした東京五輪の前哨戦という以外はあまりに不十分に思えた。
テレビ中継では常に「WBC王者のアメリカと激突」とか「全勝の最強メキシコと大一番」なんて視聴者を煽るテロップを出していたが、あれには興醒めしてしまった。
いや、正直にいこうよ。就職面接の自己アピールとかSNSの自撮り写真みたいな盛り過ぎ感が当たり前になると、のちのちしんどいっすよ。
スマホで少し調べれば大物メジャーリーガーが参加するWBCとはまったくチーム編成が異なることはすぐ分かる。テレビを無条件で信じた一昔前とは違う。今の視聴者の情報量を舐めてはいけない。
要は、発信側も情報をごまかさない方がいい。ハッタリをかますのではなく、他大会とのレギュレーションの違いや、実はこんな魅力的な選手が来ていると素直にプレゼンするべきだ。
決勝は超満員のお祭りモード。
スター選手が集まる代表戦と言っても、いまや野球ファンもしっかり見る試合を選ぶ。野球の日本代表が不人気というより、ファンも代表戦に慣れてきたのだろう。
15年近く前、サッカー関連の仕事をしている頃、ヨーロッパのサッカー強豪国で自国リーグ戦は満員なのに、代表戦は閑古鳥が鳴いているみたいな報道をよく見た。今のNPBにおけるペナントレースと侍ジャパンの関係性を見ると、時々あのニュースを思い出す。
日曜ナイターとなった17日東京ドームでの日本vs.韓国の決勝戦には4万4960人の大観衆が駆けつけた。ビールの売り子さんは「日曜の19時試合開始だと、みんな明日の仕事を考えて全然ビール飲んでくれないんですよぉ。あたしらが売れるのも21時15分までだし。とりあえず熱男~!」なんて嘆いていたが、ちょうどウィンターイルミネーションでライトアップされた球場周辺は人であふれ、完全にお祭りモードだ。