ぶら野球BACK NUMBER
「野球の日本代表」が定着してきた。
プレミア12で感じた成熟と真剣勝負。
posted2019/11/21 20:30
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph by
Yasutaka Nakamizo
こんなにのんびり野球を見るのはいつ以来だろうか?
最近、CSとか日本シリーズみたいなシビアで切実な球場観戦が続いたから、たまにはこういうのもいいよな。11月15日昼、東京ドームで『プレミア12スーパーラウンド』のアメリカvs.台湾を眺めながらそう思った。
1200円の内野自由2階席の当日券を購入して入場すると、プロ野球では最近見たことがないレベルの空席が新鮮ですらある。場内の飲食店も一部を除いてほとんどがシャッターを閉めていたが、なんとか焼そばとコーラの昼ご飯を買ってランチ観戦。
前方では付き合いたてとおぼしき微妙な距離感と緊張感を漂わせる大学生風カップルの姿も。彼氏の背中はアメリカ代表入りしたオリックスのディクソンの32番ユニだ。デートにこの試合をチョイスするなんて将来有望だな……とまったくもって意味不明な感想を抱きつつ、俺は金曜日の昼下がりに、近所の公園へぶらり散歩に出かける感覚でまったり野球を見た。
試合が終わったら、天然温泉スパラクーアかサウナにでも行こう。そのあとは水道橋駅西口の『闘魂ショップ』でプロレスグッズを冷やかして、王将で餃子のゴールデンコースだ(絶対モテなそう)。
とか思ったら、不意にエンゼルスの未来のスーパースター候補、ジョー・アデルが打席に入る。おおっ、5年後に「オレ、ハタチのアデル見たよ」なんつって超自慢できるあの感じ。しかし、観衆4967人と空席が目立つ。これがプレミア12のリアルか。
観客が少ないのはしょうがない。
11日のZOZOマリンスタジアムでの日本vs.オーストラリアは観衆17819人でテレビ視聴率は12.0%(同日昼に行われたメキシコvs.台湾は2803人だった)。
ラグビーW杯の盛り上がりとの比較や侍ジャパン人気の低迷と報じるメディアもあったが、11月の冷える屋外球場で月曜日のナイターというハードな条件。
しかも19時開始なので、終わるのは大抵22時過ぎだ。この観戦環境ではよっぽど時間と体力に余裕がある熱心な野球ファンじゃなければ現地まで行こうとはしないだろう。