“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「こんなドリブルをする選手が」
鹿島スカウトも驚く18歳の技と視野。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/11/15 20:00
浜松開誠館戦の勝利に貢献した静岡学園MF松村優太。目標の選手権出場まであとひとつだ。
スラスラと解説する18歳。
2-0での勝利に貢献し、昨年のリベンジを果たして3年連続の決勝進出を果たした。その直後、彼にこのプレーの狙いを聞いてみた。
「右サイドを駆け上がったときに、一度止まってみたら、相手のDF2枚がガッと僕の方に食いついてきていたんです。よく相手を見ると、2人の間が空いていた。よく海外の選手なんかもゆっくり持ち出してからアウトサイドでカッと間に入っていくプレーをよくするので、そういうイメージを持っていました。
ただ、間に割って入ったときに、最後は左のアウトサイドでボールを触って前に運ぼうと思ったのですが、ボールが自分の左後ろにあったので、左足インサイドの方が相手の股を通せると思ったんです。感覚の部分が大きいと思います」
スラスラと言葉が出てきた。それだけ意図的にプレーしているという証拠である。ここから話は彼のドリブルへの哲学に及んだ。
「相手の出方を見てしっかりと判断できるように、ボールと自分のタッチの関係性を意識してやっています。1人目をかわして、2人目で取られてしまったら意味がない。何人来ても抜いていけるようなドリブルを心がけています。そのためにボールタッチの角度など、細かい部分にも意識しています」
染野、荒木らと切磋琢磨して――。
今、彼の視線の先には自身初となる高校選手権出場がある。16日に控える富士市立高との決勝戦しか映っていないだろう。だが、さらにその先には名門クラブでの切磋琢磨の日々が待っている。
「染野選手と荒木選手にはそれぞれ良さがあると思います。でも、それと同じように僕には2人にはない良さがあると思います。なので、自分が一番武器にしている良さを存分に出していくことができれば、やっていける。そこは自信を持ってやりたいと思います」
山田はユース出身として期待が集まるGK、今季途中に法政大から加入したFW上田綺世と染野は世代を代表するストライカー、荒木はFWからボランチまでこなせるセントラルプレーヤー。そんな「勝負の年代」のラストピースとして、サイドアタッカーの松村が加わった。
この先、彼らはどんな成長を見せてくれるのか。鹿島の「本気」が伝わる彼らのプレーをぜひ一度見てほしい。