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中田翔、山田哲人を伸ばした育成論。
三木肇が楽天の監督として目指す物。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKyodo News
posted2019/11/04 19:00
目の前の選手が、どうすれば大きく育つか。三木肇監督の目は常に現場に向いている。
「期待する選手は?」という質問が嫌い。
三木は、指導者として「期待する選手は?」と聞かれることを嫌う。なぜなら、全員に期待しているからだ。
「みんなに可能性がある。成績だけじゃ測れない、その選手の強みが必ずあるから」
そのために、三木は自分の意思を伝え、相手の気持ちを理解しようと努める。そうやって、選手の個性を把握し、実戦では適材適所の陣容を形成していく。その過程で、三木がベースとする「1点でも多く取り、最少失点で守り抜く」を実現するべく、1プレーに対する理解力も高めさせる。
これこそが、指導者・三木の深謀なのだ。
オフは試合がないだけで休みじゃない。
新監督として始動した10月の秋季練習では、選手やコーチ陣とコミュニケーションを図ることに重きを置いた。そして、秋季キャンプでは“野球漬け”を課す。
実戦形式の練習から紅白戦などの実戦、野手に至っては休日の夜にも素振りを命じる。
「キャンプの目的のひとつとして、シーズンオフの練習内容を選手に見つけてもらうこと。オフは試合がないだけであって休みじゃないから。そこでトレーニングをするための準備期間だと思って選手にはやってもらえれば」
三木はすでに、来季を見据えている。
永遠にたどり着けないかもしれない100。その領域に限りなく近づこうと、新監督はどんなに些細なことにも目を配る。
千里の道も一歩から。
三木楽天の「完璧」への挑戦が始まる。