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中田翔、山田哲人を伸ばした育成論。
三木肇が楽天の監督として目指す物。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byKyodo News

posted2019/11/04 19:00

中田翔、山田哲人を伸ばした育成論。三木肇が楽天の監督として目指す物。<Number Web> photograph by Kyodo News

目の前の選手が、どうすれば大きく育つか。三木肇監督の目は常に現場に向いている。

野村克也は土台だが、全てではない。

 しかも三木は、ヤクルトに入団した1996年から3年間、「ID野球」でチームを3度の日本一に導いた、名将・野村克也の薫陶を受けてきた。自身でも「土台なのは確か」と認めているだけに、「野村の教えを継承する監督」と、見出しになるような謳い文句で煽られるのも無理はない。

 ただし、その解釈は事実である一方で、誤りでもある。

 三木は以前から「野村さんの影響を受けたのは間違いないけど、それが全てではない」と言っている。

「小学校から野球を始めてから、いろんな監督さんから勉強させてもらった」

 会見でも補足していたこの言葉こそ、三木の指導者としての幹を形成しているのだ。

 誰からでも、どんなことでも吸収する。

 三木とは、そんな指導者だ。

 どこまでも貪欲。その姿勢は、監督就任会見後の囲み取材でも表れていた。

「全てが大事。全てを追っかけてもしょうがないですけど、全てをしっかり詰めてやりたいな、とは思っています」

理念は「微差は大差」。

 物事に100は滅多にあり得ない。完璧にこなせたと思うことでも、そこで満足してしまえば歩みは止まる。「もっとうまくできたのではないだろうか?」「アプローチを変えてみたらどんな結果だったのだろう?」。そういった探求こそが、人を無限に成長させる。

 三木自身、それを認識した上で、こと野球においては、ほぼ不可能に近い100を常に目指す。それこそが、質の高い野球、練度の高いチームへと繋がると信じているからだ。

「微差は大差」

 これは、三木が指導者として大事にしている理念のひとつである。

 要するに「小さなことの積み重ね」になるのだが、三木という指導者の心情に触れると、その意味合いがより深くなる。

【次ページ】 中田翔や山田哲人を育てた方法。

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