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中田翔、山田哲人を伸ばした育成論。
三木肇が楽天の監督として目指す物。

posted2019/11/04 19:00

 
中田翔、山田哲人を伸ばした育成論。三木肇が楽天の監督として目指す物。<Number Web> photograph by Kyodo News

目の前の選手が、どうすれば大きく育つか。三木肇監督の目は常に現場に向いている。

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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Kyodo News

 担当記者が勢ぞろいする。地元局をはじめテレビカメラがずらりと並ぶ。フォトセッションでは無数のフラッシュが瞬く。

 監督就任会見。楽天の新監督となった三木肇にとって、それは初めての光景だった。

「監督はいろんなことを求められますので、覚悟を持って立ち向かっていきます。ファンの皆様の声援がチーム、選手にとっての宝物です。チーム一丸、また、ファンの皆様と一丸となってリーグ優勝、日本一を目指して頑張っていきます」

 力強く決意を表明する。

 だが、実際のところ昂揚感はなかった。

 普通。

 晴れの舞台に立った男が、自身を俯瞰する。

「喋る相手がひとりだろうと何十人だろうと、話す内容は変わらないんだけど、やっぱりああいった場だから『緊張するかな?』とも思った。でも、意外と普通だった」

 そう言って、三木新監督が笑った。

指導者になって11年、着実な前進。

 日本ハム時代に中田翔、中島卓也、西川遥輝ら、今のチームを支える選手を育成し、ヤクルト時代には山田哲人の守備、走塁面を鍛え上げ、トリプルスリー(3割、30本塁打、30盗塁)達成を支えた。そして、今季は楽天の二軍監督に就任し、球団初のイースタン・リーグ制覇へと導いた。

 プロの指導者となって11年。三木は着実にステップアップを遂げ、一軍監督となった。

 就任会見で目指す野球を問われると、新指揮官は「バッテリーを中心とした守りの野球。1点を多く取り、1点を守る野球」を挙げた。

 いわゆる細かい野球。楽天が積年の課題に挙げる走塁への意識。三木自身が会見で述べていたように、打者には出塁率を求めるとなれば「スモール・ベースボール」を標榜しているようにも受け取れる。

【次ページ】 野村克也は土台だが、全てではない。

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