プレミアリーグの時間BACK NUMBER
不調トッテナムに高まる監督解任説。
打開のヒントはラグビーのエディー!?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byUniphoto Press
posted2019/11/02 11:40
デル・アリを励ますポチェッティーノ監督。トッテナムを強豪に仕立て上げた指揮官はどのように不調を乗り越えるか。
デル・アリを包むネガティブ評価。
デル・アリの復調ペースが上がれば、今季のトップ4争い復帰も十分考えられる。10節終了時点での順位で言えば、サプライズ3位のレスター、若手起用も奏功して4位のチェルシー、パフォーマンスとムードも良好とは言い難いアーセナルとマンUがそれぞれ5位と7位で続く。そんな競争相手と目される4チームと比べても、戦力は劣っていない。
トッテナムにあって、今デル・アリに対するネガティブな意見は、指揮官に関するそれに負けないほど厳しい。ネビル曰く、「アグレッシブなボックス・トゥ・ボックス型としての特長をすべて失っている」状態。リバプール戦をスタジオで解説したロイ・キーンには、「練習に臨む普段の姿勢から見直せ」とまで言われてしまった。
リーグ戦出場3試合で1得点という今季10節までの数字を見れば、期待外れと言われても仕方がない。だが、昨季から3度目となるハムストリングの怪我で出遅れた23歳が、自信を失っているチームで本来のプレーを見せることは、周りが言うほど簡単ではないはずだ。
トップ下でらしさを見せられれば。
リバプール戦ではアリも「らしさ」を窺わせた。トッテナムが追加点に迫った24分、エリクセンの斜めのパスからケインが放ったラストパスは、惜しくもピンポイントのクロスにはならなかった。しかしボックス内に走り込んでいたのが、4-3-2-1システムの中盤左サイドを任されていたアリだった。
個人的には、ガツガツ攻め上がるというよりも、オフザボールでセンス良く動き、鮮やかなテクニックを駆使して決定的な仕事をするのがアリ最大の魅力だと思っている。
例えば、28年ぶりに敵地で勝利した昨年4月のチェルシー戦(3-1)。前半はエリクセンだけが目立っていたが、後半はアリが輝いた。ロングボールを見事にコントロールしての逆転ボレーと、混戦状態のボックス内でボールをかっさらって押し込んだダメ押しゴールだ。
代表戦での冴えないパフォーマンスが批難されたばかりだった当人を、ポチェッティーノは「ファイター」と讃えた。識者たちの手厳しい評価も発奮材料となり得るだろう。本領発揮を待つ指揮官にすれば、ゴールに近く、持ち味が発揮しやすいトップ下的なポジションでの起用を増やす手もあるだろう。