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不調トッテナムに高まる監督解任説。
打開のヒントはラグビーのエディー!? 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2019/11/02 11:40

不調トッテナムに高まる監督解任説。打開のヒントはラグビーのエディー!?<Number Web> photograph by Uniphoto Press

デル・アリを励ますポチェッティーノ監督。トッテナムを強豪に仕立て上げた指揮官はどのように不調を乗り越えるか。

11位と低調、サイクル終焉との声。

 10月27日の前節リバプール戦(1-2)を終えた時点で、トッテナムのリーグ順位は11位。4つ目を数えたリーグ戦黒星には、CLでのバイエルン・ミュンヘン戦の大敗(2-7)から中3日で迎えたブライトン相手の完封負け(0-3)も含まれているからだ。

 シーズンは10試合を消化した序盤戦に過ぎない。

 それでも5カ月前、4シーズン連続のトップ4とクラブ史上初のCL決勝進出を補強なしで実現した手腕が絶賛された指揮官が、交代の潮時を迎えたと報じられている。識者の間でも、スカイ・スポーツ解説者のジェイミー・キャラガーは「サイクルの終焉。監督を変えるべきだ」と手厳しい。

 トッテナムで1つのサイクルが終わろうとしていることは間違いない。7年目を迎えた今夏、移籍を望んだプレーメイカーのクリスティアン・エリクセンの他、プレミア最強のCBコンビと言われた時期もある30代のヤン・ベルトンゲンとトビー・アルデルバイレルトも、今季末で契約が切れる。

 だが、主力を入れ替えてチームを作り直す人物は、ポチェッティーノであり続けても良いのではないか? いや、ポチェッティーノであるべきではないか?

昨季CL決勝で負った大きな心の傷。

 過去5年間、トップ4常連ですらなかったトッテナムを優勝候補に変えた実績からして資格は十分である。現チームの攻撃的プレッシング・サッカーはポチェッティーノのスタイルだ。年齢も、監督としてはまだ若い47歳である。

 本人にもその意思があるようで、バイエルンに惨敗した直後には「少なくともあと5年」の意思表示とも受け取れる発言があった。

 トッテナムでの限界説は、攻守のアグレッシブさという「ポチェッティーノ色」が、今季は薄くなっていることから主力の心が離れたとする見方が背景にある。だが実際には、チームが負った心の傷の問題のように思える。

 チームは現体制下で初のタイトルを懸けた昨季CL決勝で、監督を含めてキャリア最大級の敗北の虚しさを味わった。今季に入っても、同じCLのピッチで記録的なホームでの大敗という屈辱にまみれ、続くリーグ戦では、開始早々の失点時に守護神ユーゴ・ロリスを肘の脱臼で失うショックを受けているのだ。

【次ページ】 リバプール戦での前向きな材料。

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