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今季の駅伝シーズンは混戦模様。
全日本は「選手層」の勝負になる。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byKyodo News

posted2019/11/01 12:45

今季の駅伝シーズンは混戦模様。全日本は「選手層」の勝負になる。<Number Web> photograph by Kyodo News

出雲駅伝では国学院大学が優勝。今季の駅伝シーズンは混戦模様だ。

青学大は4年生の奮起が待たれるが……。

 大会2連覇を目指す青学大だが出雲を見る限り、昨年のエース森田歩希、小野田勇次ら主力が抜けた穴を埋め切れていない。4区の神林勇太(3年)が区間賞の走りでトップに立ったが、5区の竹石尚人(4年)が伸びを欠き、最終的に5位に終わった。

 原晋監督が「迷っていた5区」の人選が裏目に出たわけだが、そこに「この選手だ」と自信を持って送り出せないところに青学大の苦しさが見える。ただ、神林を始め1年の岸本大紀、エース候補の吉田圭太(3年)、アンカーの中村友哉(4年)がまずまずの走りを見せるなど、収穫もあった。

 全日本2連覇を達成するためにポイントになってくるのが4年生の走り、とりわけキャプテンの鈴木塁人(4年)の復調だろう。

 出雲ではメンバーを外れ、レース後の5000mの記録会も後半に失速し、13位に終わった。トラックシーズンから調子が一向に上がってきていない様子だ。

「チームは4年生が強くなければいけない」と原監督は常々言っているが、鈴木、竹石ら4年生がこの3週間でどのくらい調子を上げることができたか。

 昨年、全日本5区を走った吉田祐也(4年)が戻ってきたのは明るい材料だが、駒沢大などのメンバーと比較すると絶対的な選手が足りず、威圧感も昨年ほど感じられない。

 箱根に向けて切り替え、思い切って吉田圭太ら3年生と下級生主体で臨んでくる可能性もあるが、苦しい台所をどうやりくりしてくるのか、原采配が見物だ。

国学大は箱根往路優勝からの逆算中。

 国学大は、出雲優勝で勢いに乗っている。

 出雲優勝で大きかったのは5区、茂原大悟(4年)の走りだった。

 しっかりとつなぎ区間を走り、アンカーの土方にトップから37秒差で繋いだ。「前が見えて、追いやすい状態だった」と土方が言ったが、この差が彼の闘争心に火をつけ、逆転優勝につながった。

 全日本大学駅伝は、3区予想の浦野雄平(4年)、8区予想の土方のダブルエースを軸に出雲で結果を出した選手が走るだろう。

 問題は出雲出走のメンバー以外で入ってくる選手の状態だ。出雲の控えだった河東寛大(3年)は出雲の記録会5000mで14分24秒51の20位、同じく藤村遼河(3年)は24位ともうひとつだった。

 中西唯翔(1年)、さらに1万m28分46秒83の島﨑慎愛(2年)らが出走した場合、どこまで走れるか。未知数な部分が大きいがいい流れで襷を受け、快走すれば土方につながり、出雲につづき2大会連続での優勝も見えてくる。

 昨年から「歴史を変える挑戦」をスローガンに掲げ、まずは出雲で結果を出した。土方は「これからが本当の戦い。全日本、箱根でも結果を出さないとこれまでやってきた意味がない」とやる気をたぎらせている。ここで3位内を確保できれば今季最大の目標である「箱根駅伝往路優勝」は十分に狙える。

 これらトップ5に加え、帝京大、法政大も優勝争いに絡む力は十分にある。また、東京国際大など箱根予選会を戦ってきたチームは、主力の回復次第だが上位に絡める可能性を持っているので、どんなレースを見せてくれるのか。

【次ページ】 大本命が不在の今季は面白い。

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