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巨人ファンの日本シリーズ福岡遠征。
ボロクソにやられても、次は必ず。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byYasutaka Nakamizo
posted2019/11/01 11:30
今年もセ・リーグにとって絶望の地となったヤフオクドーム。ちなみに来季からはペイペイドームになるそう。
比べてしまうと東京ドームは古い……。
さて第1戦はせっかく福岡まで来たのだから、普段は経験できない席で見たくて内野立ち見B(ヒップバー付き)を購入した。なんと2000円のお買い得価格。グラウンドとはほとんど外野席の距離だが、ここもテーブルつきで飲み物やフード類を置いて観戦できた。
うーん、便利で快適な球場だ。これと比べると、残念ながら昭和の終わりに開業した東京ドームも古いよなぁ……と痛感する。「出る前に負けること考えるバカいるかよ!」と往年のアントニオ猪木にぶん殴られそうだが、イヤな予感がしたのは確かだ。
試合は5番DH阿部慎之助のソロアーチで巨人が先制するも、その後はソフトバンクのエース千賀滉大に抑えられ、頼みの山口俊がグラシアルに逆転弾を浴び、中継ぎ陣も炎上して万事休す。
阿部の10番は永久欠番にしてほしい。
それでも、周囲の数少ないG党の皆さんは最終回まで帰らなかった。9回表に阿部に打席が回ってくるからだ。客席でスマホのカメラをかまえるファンも多い。そうか、福岡のファンにとって今日と明日が背番号10を見る最後のチャンスだ。
個人的に阿部の10番は永久欠番にしてもいいと思う。通算2132安打、406本塁打の超打てるキャッチャーはしばらく出現しないからと言うより、東京ドームの外野席に掲げられてる歴代永久欠番を見ると、王貞治の1番ですらもう現役引退は40年近く前だ。
例えば数十年後に巨人の新球場ができたとき、永久欠番モニュメントに平成で活躍した選手がひとりもいないことになる。いわば、歴史の断絶。
確かに戦後昭和史そのものとも言えるV9時代は偉大であり財産だが、だからこそ「過去と現代」を球団史としていかに並列に見せるかが巨人の場合は重要になってくる。昭和に寄せすぎると、新規ファンからしたら、近寄りがたいあの頃は良かった的な視点に感じてしまう危険性があるからだ。
そうしないためにも阿部の10番や松井秀喜の55番を昭和の名選手と並べた方が、昭和と平成がスムーズに令和へ繋がるのではないだろうか。それはつける背番号が減るなんて小さな問題よりも、100年先の球団を考えたときによっぽど重要である。