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藪恵壹は阪神ドラフトをどう見た?
「100」にもなれば「0」にもなる。
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph byKyodo News
posted2019/10/26 11:30
創志学園高・西純矢投手のもとに、指名あいさつに出向いた阪神・矢野監督。まずは長い目で見守る姿勢が求められる。
プロとアマの差は体力面。
高卒選手というのは、ルーキー年の藤浪のような既に完成されている選手は別にして、25歳ぐらいまではどんどん変わっていくものです。今回指名した高卒選手たちは、西ですら時間が必要だと思います。一軍で見られるまでには3年はかかるでしょう。早くて2年目の終わりです。
プロとアマチュアの一番の違いは体力面にあります。アマチュア時代とは比べものにならないほど気が張った状態で過ごすわけですから、初年度は練習だけでもいっぱいいっぱい。ましてや、1シーズンを走り抜くとなるとさらに体力が必要です。今シーズンの近本が終盤にかけて成績を落とし気味だったのを見れば分かるように、ここは社会人卒の選手でも苦しむところですから、高校生にはさらに時間が必要になります。
幸い、投手に関してはタイガースの層は厚いですから、長い目で見てあげられる環境があると言えるでしょう。また、数年かけて芽を出してきた才木浩人、浜地真澄、望月惇志らの若手投手もいますし、環境は悪くありません。
今回の成果は100にも0にもなる。
あとは、ルーキーに頼らざるを得ない状況を作らないこと。そのために、トレードや助っ人による戦力強化にも怠ることなく取り組んでほしいと思います。特に外国人選手の獲得ですね。現有戦力だと、ピッチャーはジョンソン、ガルシア、あとはドリスを残すかどうか。野手はマルテのみになるでしょうから、投手2人と野手1人ぐらいは最低でも連れてきてほしいところです。
今回の指名の成果は、将来的には100にもなり得るし、もちろん0にもなり得ます。全員が出てくるかもしれないし、その逆の可能性も否定できません。せっかく思い切ったドラフトをしたんですから、数年後には100とは言わずとも60、70くらいの「成功」に導いてほしいところです。そのためには、コーチや監督からファンに至るまで、焦らずじっくりと見守っていくことが大切になってくると思います。