マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
嫌いなドラフト用語「指名漏れ」。
プロに進むタイミングは1つじゃない。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/10/25 11:30
プロに入ってしまえば、数年で結果を出さなければ戦力外がチラついてくる。焦るより、万全のタイミングを待つのが大事なのだ。
戦力外選手の中にも、惜しい名前が。
10月1日、1回目の戦力外通告があった。
高校で思いとどまって、大学、社会人で何年か勉強してからの方がいいのでは……入団時に、そんな感想を持った選手が何人も含まれていた。
「プロ志望届を出さなかった選手」というリストも、ドラフト当日のスポーツ紙紙面に載っていた。
よくぞ、思いとどまってくれた。正直、そんな印象を抱かせる選手が何人もいた。
若者の熱き情熱は、いつの時代も、せっかちに先を急ごうとするものだ。
ちょっと待て、そんなに急いでどこへ行く?
将来の10年、15年のためにいま費やす3年、4年は決して長くない。プロに進むのに、いちばん大切なのはタイミングだ。そして「指名漏れ」、いや「指名保留」は決して敗北などではない。
今は、まだ早い。野球の神さまがそう言って、さらに腕を磨く時間を与えてくれたのだ。「神さま」のおっしゃることに、間違いはない。