バレーボールPRESSBACK NUMBER
男子バレーに求められる意識統一。
快進撃で終わらせないための舵取り。
posted2019/10/24 19:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Itaru Chiba
今年5月に行われた男子バレーボール日本代表の始動記者会見で、エースの石川祐希(キオエネ・パドヴァ/イタリア)はこう宣言した。
「今年はチームとして戦うこと以上に、個人1人1人の力で世界と勝負できる代表チームにします。ワールドカップではメダルを獲りにいきたい」
そして実際に、10月15日まで行われたワールドカップで、個の力が充実した日本は快進撃を見せ、ワールドカップでは初の8勝(3敗)を挙げ、メダルには届かなかったものの、28年ぶりの4位で大会を終えた。
今大会は前回までと異なり五輪予選を兼ねていなかったこともあって、大会を通してほぼベストメンバーで臨んだ強豪はブラジルとアメリカだけだった。しかしそれでも、層の厚いロシアや、若手に勢いのあるアルゼンチン、イラン、イタリアなどに勝利し8勝を積み重ねたことは大きな成果だ。
サーブで揺さぶった日本。
快進撃の一番の要因はサーブだった。サーブはどのチームにとっても重要な要素だが、特に高さで劣る日本が強豪国に勝つには、サーブで崩すことは必須条件だ。
もともと西田有志(ジェイテクトSTINGS)や石川、柳田将洋(ユナイテッド・バレーズ/ドイツ)のジャンプサーブは世界に通じる武器だったが、これまではチームとして波があり、サーブがよければ強豪ともいい試合ができるが、サーブが悪ければ歯が立たないという状態だった。
しかし今大会は安定してサーブが効果を発揮した。
29本のサービスエースを奪いサーブランキング1位に輝いた19歳のオポジット・西田を筆頭に、ジャンプサーブ陣が精度と安定感を増したことに加え、ジャンプフローター陣のサーブも効果的だった。特にミドルブロッカーの小野寺太志(JTサンダーズ広島)は、様々なサーブを使い分けて緩急をつけたり、対角線の長いコースに強いサーブを打つために、狙うターゲットによって立つ場所を変えるなど、状況に応じたサーブで相手を揺さぶった。