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選手発信の「#Vリーグはバレーだよ」。
バレー界に芽生え始めた見せる意識。
posted2019/10/29 11:30
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
V.LEAGUE
10月15日、「ワールドカップバレー2019」男子大会が幕を閉じた。試合終了と同時に、あるハッシュタグがTwitter上を賑わせたのをご存知だろうか。
『#Vリーグはバレーだよ』
一見、おどけたような、ユニークなハッシュタグを含んだツイートが、約2万件のツイートを記録し、トレンドの上位にランクインを果たしたのだ。
「Vリーグはバレーだよって何?」
「バレーって、そんなに知名度、低いの?笑」
もともとバレーボールに関心の高かったユーザーの中には、そのハッシュタグを嘲笑する者もいたが、これはあるバレーボール選手たちの、必死の思いが詰まったアクションだった。
絶好のアピール機会だったW杯。
始まりはワールドカップ女子大会の開幕直前だった。
昨年度から新リーグ「V.LEAGUE」と名前を変え、ビジネス化を図ったバレーボール。各チームがホームゲームの主催を担当し、その収益を各チームに分配するなど、営利目的の試合興行に踏み切ったVリーグだったが、残念ながら観客動員やリーグの知名度は今ひとつ、成果を感じられずにいた。
それまで主催・主管であるVリーグ機構や日本バレーボール協会に運営を任せていたため、各チームが興行としての試合開催に戸惑った節もあるが、何より開催地でのチーム、選手の知名度不足も大きな要因だと考えられていた。
そんなバレーボールにとって地上波、全国ネットで放送されるワールドカップは絶好のプロモーションの機会である。この機会にハッシュタグを使ってVリーグの存在をアピールしてはどうかと言い出したのがFC東京の野瀬将平だった。
野瀬は振り返る。
「最初は『なんとかVリーグをアピールできないか』ということを、自分がSNSでつぶやいたと記憶しています。でも、そのときは『もしやるなら僕だけでやっても意味がない』『みんなが同じ方向を向かないと』と思っていました。そうやってあれこれ考えているうちに、徐々に僕と同じように危機感を持っている人、何か行動したいという人が各チームにいることがわかって、『じゃあ、みんなでやろうよ』ということになったんです」