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元浦和監督フィンケが土台を築いた、
好調フライブルクの独自性とは。
posted2019/10/18 11:40
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Uniphoto Press
例年以上に勝ち点差がつまっているブンデスリーガ序盤戦において、一番の驚きを提供しているのが第7節終了時点で4位につけているフライブルクだ。
ここまで対戦カードに恵まれているだけという声もあるが、第7節ではドルトムント相手に終了間際の同点弾で勝ち点を獲得。特に後半は主導権を握り、見事な攻撃で相手守備を攻略し続けていた。
クラブ予算は全ブンデスリーガクラブの中で下から数えた方が早い。誰もが知るスター選手を抱えているわけでもない。戦力的にみたら、同じく上位にいる他クラブとは明らかに差がある。だが、披露しているサッカーのクオリティは非常に優れている。
ドイツで「2番目に好きなクラブ」。
フライブルクはドイツの中で最もシンパシーを集めるクラブとされている。おらがクラブが一番なのはどのファンもそうだろうが、「では2番目に好きなクラブは?」と聞かれると、フライブルクの名前をあげるファンが多い。
さらに、代表監督のヨアヒム・レーブ、新しくドイツサッカー協会会長に選出されたフリッツ・ケラー、前プロコーチライセンス指導者インストラクター主任のフランク・ボルムートといったドイツサッカー界における主要人物の多くがフライブルクの出身なのだ。彼らを育んだフライブルクは、どんなところなのだろう。
ドイツ南西部に位置するフライブルクは人口約22万人の中都市だ。町の東側には広大な黒い森地域が広がり、自然豊かで風光明媚な地方ではあるが、その分人口密度は高くない。大きな企業もほとんどなく、クラブにしても大型スポンサーがついているわけではない。地方クラブとして抱える悩みがそこにはある。プロスポーツクラブを運営していくうえで、立地条件は最適とは程遠いのが実情だ。
だが、クラブは自分たちの置かれた立ち位置を愚痴るのではなく、逆にメリットにする術を考え出した。この地域にブンデスリーガクラブはSCフライブルクしかない。それは、地域全体で積極的なアプローチをしていくことで、自分たちの哲学・コンセプトを広めることが可能だということでもある。では、具体的にどんなことをしているのか。