セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
初CLで連敗しても強いアタランタ。
主将が感心した“八百屋のお釣り”。
posted2019/10/19 08:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Uniphoto Press
チャンピオンズリーグに初出場しているアタランタが、開幕から2連敗で早くも大会敗退の危機に瀕している。大舞台は新参者に甘くない。
地元紙は「夢の舞台どころか悪夢そのものだ」と嘆き、智将ガスペリーニも主将ゴメスも「見通しが甘かった」と自省する。
イタリア中の地方クラブの期待を背負う彼らに、逆境をはね返す手立てはあるのか。
アタランタは、最も与しやすしと思われていたディナモ・ザグレブとの初戦で、いきなりCLの厳しい洗礼を浴びた。
彼らの歓喜のピークは、敵地シュタディオン・マクシミールで試合前の大会アンセムを聞いたときだろう。そして、高ぶった気持ちの彼らの足は宙に浮かんだまま地面に戻ってこなかった。
パスはしどろもどろで、連動して相手を崩す自分たちの長所を何一つ出せないまま、あれよあれよと言う間に失点を重ねた。6シーズン前にセリエBで1ゴールも決められなかった相手FWオルシッチにハットトリックを決められて、0-4の大敗を喫した。
山間の村から都会のマンモス校に転校してきた初日の小学生みたいに、アタランタは初出場の緊張に呑まれた。手も足も出ない惨敗だった。
何が何だかわけがわからないまま。
実力的にアタランタが劣っていたとは思わない。だが、試合後の主将ゴメスは「何が何だかわけがわからない」と頭をふり、MFデローンも虚ろな目で「僕らは無意味なロングボールばかり蹴っていた。とにかく頭が痛い」と呟くばかり……。指揮官ガスペリーニは「戦術的対策は十分に練っていた。初陣の緊張を言い訳にしたくない」と強弁したが、チームが夢舞台に浮き足立ったまま修正できなかったのは明らかだった。
散々な結果に終わったクロアチア遠征の後、シャフタール・ドネツクを迎えるホームゲームで挽回を、と意気込んだのは当然だ。
本拠地ベルガモのジェウィス・スタジアムは段階的に改装を進めていて、UEFAの開催基準を満たしていないため、ミラノのジュゼッペ・メアッツァをミランとインテルから間借りした。人口12万人の地元から2万6000人がかけつけた。