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福西崇史が称賛。タジキスタンから
戦意を奪った「南野と鎌田の関係性」。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byKyodo News
posted2019/10/16 12:00
サッカーW杯アジア2次予選、日本対タジキスタン。後半2点目を決め、堂安(左)から祝福を受ける南野。
地味だけど大切なこと。
タジキスタン戦でも相手が切り返してシュートを打つしかない状況に追い込むなど、マーカーは少しでも体勢を崩そうとしていた。こういった細かい部分を徹底していけるかは、地味だけど大切なことですしね。
そしてこの連戦で一番注目したいのは、普段所属するクラブで結果を残している選手が、代表で自信を持ってプレーしていること、良いパフォーマンスを見せていることです。
例えば2試合で3ゴールの南野。彼は代表戦前に行われたCLのリバプール戦で鮮やかなボレーシュートを決めて、大きな自信を手にしました。そしてレベル差があるアジア相手でも同じモチベーションで臨み、結果を残した。集中力を持ってよくやれていたと思います。
それはモンゴル戦でアシストを量産した伊東純也も同じ。ヘンクでリーグ戦とCLを戦った経験からか、さらに守備ができるようになったし、周囲を上手く使って相手との駆け引きで優位に立つなど幅を広げているなと感じます。
久保建英も自分を表現。
この2人だけではありません。鎌田はもちろん、堂安はタジキスタン戦で右サイドに入って何とかアピールしようとハードワークしていた。モンゴル戦、同じ右サイドで活躍した伊東の存在を意識したはずです。また久保(建英)も6分ほどのプレーで、自分を表現してやろうという意思を感じました。
代表で激しいチーム内競争を繰り広げる一方で、名前を挙げた選手たちはほとんど毎週行われるリーグ戦で試合勘を得ています。そこで結果を残して自信を持ったことで、代表でも思い切りの良いプレーを見せられている。今の日本代表は多くの選手が各国クラブで主力になっている。その価値を再確認しました。
ちなみにU-22日本代表も敵地でブラジル代表相手に3-2の勝利を挙げましたね。これも五輪世代の選手の多くが所属クラブで出場機会を得ているのが大きいと見ています。
以前の世代別代表はクラブでなかなか出番を得られず、敵地に行くとかなり厳しい戦いを強いられたこともありました。それがたくましく勝ちきれるようになったのは、「チームを勝利に導くために、どうチームの中で生きつつ、自分のプレーをやりきるか」という実戦経験を積み上げているからこそです。
所属クラブで評価を上げて、自信をつけていく。そんな選手たちが集まって連係することで、日本代表が面白くて強いサッカーを見せていく。2次予選ではそんな流れを作ってほしいですね。
(構成/茂野聡士)