大山加奈のVolleyball is Life BACK NUMBER
W杯で見えた女子バレーの課題とは?
海外勢の練習に大山加奈が注目。
posted2019/10/09 11:30
text by
大山加奈Kana Oyama
photograph by
Itaru Chiba
力強いスパイクを武器に、バレーボール日本代表として活躍した大山加奈氏による連載がスタート。現役引退以降、育成世代の指導など、バレーボールの普及に向けて精力的な活動を続ける彼女に、日本バレーの現状、展望を大いに語ってもらいます。
第1回となる今回は、先日閉幕したワールドカップについて。大会を通じて浮き彫りとなった課題、そして試合前の練習の違いについてお話いただきました。
女子バレーのワールドカップが閉幕しました。結果は6勝5敗。非常に厳しい結果です。
なぜなら、オリンピックまで1年を切り、出場国も決まり始め、もうチームが固まっていなければならない状態であるにも関わらず、まだ自分たちがやっていくこと、やろうとしていることが共有されていないからです。
速さを追求して、うまくいかなくて、ゆっくりと、間を使ったバレーに戻す。同じことが何度も繰り返されているのが、本当にもったいない、と感じさせられた大会でした。
結果的に1つ勝ち越すことはできましたが、負けた試合では被ブロックの本数が2ケタ。確かに海外勢は高さという利点で日本を上回っているかもしれませんが、なぜこれほどのブロック失点を喫したのか。
理由は2つです。
トスの低さと攻撃枚数の少なさ。
まず1つはトスが低いこと。
アタッカーの最高打点で打てれば、高いブロックに対しても当てて出すとか、コースを打ち分けることもできるのですが、トスが低いとブロッカーの手に囲まれた状況から打たなければならない。そうなれば空中でコースを選択する余裕がなくなり、打つ場所が限られてしまいます。
そしてもう1つが、攻撃枚数を増やせなかったことです。
大会前、日本は攻撃力の強化を課題に掲げていて、その1つの策としてオポジットに黒後愛選手を入れる布陣を考えていたはずです。残念ながら黒後選手のケガという想定外のアクシデントに見舞われ、当初のプランが実行できなくなってしまったのかもしれませんが、大前提として、誰かがいるからこれをやる、やらない、というのではなく、チームとしてこうする、というスタイルがなければ強いチームに勝つことはできません。