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W杯で見えた女子バレーの課題とは?
海外勢の練習に大山加奈が注目。 

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大山加奈

大山加奈Kana Oyama

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photograph byItaru Chiba

posted2019/10/09 11:30

W杯で見えた女子バレーの課題とは?海外勢の練習に大山加奈が注目。<Number Web> photograph by Itaru Chiba

バレーボールW杯で5位(6勝5敗)となった女子日本代表。中国は、前回大会に続いて連覇を果たした。

中国を乱したブラジルから学ぶこと。

 実際に全勝で優勝した中国は、今大会で頭1つ抜けていました。それはエースの朱テイ(シュ テイ。※テイは女ヘンに亭)選手がすごいから、袁心ゲツ(エン シンゲツ。※ゲツは王ヘンに月)選手がいるから、というだけでなく、若手選手や誰が出ても同じスタイルが構築されていたからです。

 どこに穴を見つければいいのか。そう思わずにいられないほど、強い中国でしたが、唯一苦戦を強いられたのが札幌ラウンドでのブラジル戦です。

 ブラジルのサーブ、組織力を前に中国はトスが低く、速くなり、セッターが1本目をレシーブした後の2本目、セッター以外の選手が上げるトスの精度が落ちてしまいました。その結果、スパイカーが自分の能力を活かせない状況になってしまったため、あの中国でさえ、苦しい展開を強いられた。

 加えて、ブラジルはミドルブロッカーのマーラ・レオン選手を起用しました。マーラ選手はクイックに入る時、大きく、ゆっくりしたリズムなので、サイドやバックアタックの選手と攻撃のスピードが揃い、中国のブロックに対してブラジルの攻撃が数的優位な状況をつくることができた。その結果、あの鉄壁で穴がない中国のブロックですらブラジルの複数での一斉攻撃に太刀打ちできず、今大会初めて2セットを失いました。

日本も常に4枚攻撃を展開したかった。

 つまり、どれだけ高さのあるブロックに対しても、攻撃枚数を増やせば打開するチャンスは生まれる。

 日本も常に4枚攻撃を展開したかったのですが、枚数は少なく、残念ながらレフト、レフトとトスが偏り、ブロック失点が増えざるを得ない状況を招いてしまった。

 大会前半の成績が苦しかったこともあり、セッターのトスに工夫がない、という発言も目にしましたが、それは違います。セッターがさまざまな攻撃を選択できるように、苦しい状況だからこそミドルもしっかり開いて、助走をとって攻撃に入らなければならないし、バックアタックも常に入る意識を持たないといけない。

 すべてがセッターのせいにされてしまうのは、とてもかわいそうでした。

【次ページ】 アフリカ勢の躍進と韓国の進化。

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