大山加奈のVolleyball is Life BACK NUMBER
W杯で見えた女子バレーの課題とは?
海外勢の練習に大山加奈が注目。
text by
大山加奈Kana Oyama
photograph byItaru Chiba
posted2019/10/09 11:30
バレーボールW杯で5位(6勝5敗)となった女子日本代表。中国は、前回大会に続いて連覇を果たした。
アフリカ勢の躍進と韓国の進化。
中国は別格として、海外勢の試合を見ているとたくさんの学びがありました。
特に驚かされたのはアフリカ勢の進化です。カメルーンもケニアも、もともと個々の力を見れば非常にポテンシャルが高いことは証明済みですが、実際のプレースタイルを見れば日本よりも世界のトレンドを当たり前に取り入れていました。
特にカメルーンは、サーブレシーブも少しラインを前に出してアンダーハンドではなく、オーバーハンドで処理することで素早く攻撃に入る準備ができていましたし、ブロックも組織的で、攻撃参加の意識も高い。今は「アフリカ勢には負けない」と思われているかもしれませんが、これからどんどん強くなる。日本にとっても、世界にとっても脅威になる日は遠くないはずです。
進化、という面で言えば韓国にも驚かされました。
日本戦ではキム ヨンギョン選手だけでなく、178cmのイ ジェヨン選手にブロックの上から決められた。「高さに負けた」と言い訳ができない内容でした。イ ジェヨン選手が高い位置からハードヒットできるように、トスも高かったのですが、そこにプラスして相手ブロックによって打つ場所、スロットを変えていましたし、攻撃準備が速く、イ ジェヨン選手のスパイクはファーストテンポなのでブロックが完成する前に叩かれる。
韓国にあって、日本になかったもの。
ではなぜそうなったか。それは1本目、ファーストタッチの差です。
日本は速く攻撃展開しようとするあまり、ファーストタッチが速く、低くなっていましたが、韓国は高さがあった。低いとセッターもアタッカーも余裕がなくレフトに偏ってしまう日本に対して、韓国はスパイカーがしっかり助走を取って、そこから打つまでが速い。
イ ジェヨン選手に限らず、全体の攻撃参加意識が格段に上がっていたため、複数の場所から一斉に攻撃してくるので、速くて低いトスを打たなくても日本のブロックから見れば、韓国の攻撃には速さと高さ、何より余裕がありました。
大阪の3戦では日本のファーストタッチも高さを出したこと、芥川愛加選手や奥村麻依選手のように攻撃参加意識の高い選手が入ったことも重なって、3連勝できました。もしもはじめから、スパイカーの能力を信じて、大阪ラウンドのようなスパイカーを活かす展開ができていれば、もっと違う結果になったのではないでしょうか。