バレーボールPRESSBACK NUMBER
バレーW杯で苦戦した中田ジャパン。
浮き彫りになった「間」の重要性。
posted2019/10/03 11:50
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Itaru Chiba
女子バレーボールのワールドカップが9月29日に閉幕し、日本は6勝5敗の5位で大会を終えた。最後の大阪大会3連戦に3連勝し、かろうじて勝ち越すことができたが、札幌大会までの8戦は3勝5敗と苦しみ、3試合を残して、目指していたメダル獲得の可能性が消滅した。
その時点で唯一の光明だったのは、このワールドカップで代表デビューを果たした19歳、石川真佑(東レアローズ)の活躍だった。
男子日本代表のエース石川祐希(キオエネ・パドバ/イタリア)の妹で、今春、下北沢成徳高校を卒業したばかりの彼女は、今夏のU20世界選手権、若手で臨んだアジア選手権で優勝の原動力となり、両大会でMVPを獲得。アジア選手権後に、ワールドカップに出場するA代表に招集された。
海外勢の高いブロックをものともせず、次々に得点を奪う姿は爽快だった。身長は171cmと代表選手の中では小柄だが、それを補う跳躍力とパワーがあり、打てるコースの幅が広い。相手が石川の得意なクロスのコースを2枚ブロックで防ごうとしても、さらにその内側のコースを抜く。そこにはレシーバーが入っているが、石川はインナーのコースのスパイクにもしっかりと力を乗せられるため、レシーバーを弾き飛ばすことができる。
また、緩急を巧みに使い分けたり、打つタイミングを微妙にずらすなど、その引き出しの多さに驚かされる。
石井、荒木も認める石川の技術。
エースの石井優希(久光製薬スプリングス)は、「真佑は本当にハイボールを打つのがうまくて、ブロックが2、3枚ついても脇に強くたたけるし、ブロックの指先を狙ったタッチアウトもうまいので、そういうところは学ばないといけない」と話す。
下北沢成徳の先輩でもあるミドルブロッカーの荒木絵里香(トヨタ車体クインシーズ)は、同窓のエースたちと比較しながらこう評した。
「すごくクレバーな選手。ハイボールに対して、処理の仕方や得点に結び付ける方法をいろいろ持っている。普段の生活も、(木村)沙織よりはしっかりしてるし、黒後(愛)よりもしっかりしています(笑)」