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英雄ヘルナンデスが去るマリナーズ。
イチローが口にした現状と今後。 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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posted2019/10/06 11:00

英雄ヘルナンデスが去るマリナーズ。イチローが口にした現状と今後。<Number Web> photograph by Getty Images

ヘルナンデスはマリナーズ一筋で通算169勝を挙げ、2010年にはサイ・ヤング賞も獲得、2012年にはマリナーズ初の完全試合も達成した。

アストロズ戦の成績、1勝18敗。

 経験不足の投手陣、工夫のない打線、粗さの目立つ守備……。敗因を挙げれば、枚挙にいとまがないほど、上位チームとの実力差は歴然としていた。

 とりわけ、独走優勝したアストロズには1勝18敗と、まったく歯が立たなかった。投手陣が踏ん張っても打てず、野手陣が得点を重ねてもそれ以上に失点する、負の連鎖の試合ばかりだった。

 残った成績だけを見れば、大相撲の横綱と平幕くらいの格差を付けられた。

 今季最終登板となった9月25日のアストロズ戦で11敗目を喫した菊池は言った。

「投手陣も含めた総合力というのは、ちょっと群を抜いているというのは感じます。その相手に勝っていかないと僕らも上位は見えてこないですから」

 現役引退後、会長付特別補佐兼インストラクターとして若手を指導しているイチロー氏も、厳しい現状を冷静に分析した。

「ヒューストン(アストロズ)と同じことをしていても勝てないでしょうからね」

 明確な戦力差があることは、否定のしようがない。では、どうすべきか。

数年前までアストロズも弱小だった。

 そのヒントは、今や「横綱」となったアストロズにあるのかもしれない。

 今季メジャー最多の107勝を挙げたアストロズも、数年前までは弱小チームだった。2005年を最後にポストシーズンから遠ざかり、'11年からは3年連続で100敗以上を記録。最下位が指定席となる状態だった。

 だが、その間にドラフトや国際スカウティングで有望選手を着実に獲得。徹底したデータ分析を進め、極端なシフト守備を敷くなど、独自のカラーで球界の注目を集めた。その結果、'17年には、初の世界一に輝いた。

 今季のマリナーズの戦いは、ある意味で徹底していた。1年目の菊池には、投球過多を避けるため、1イニング限定の「ショート・スタート」を取り入れたほか、投球回数を制限(最終的には161回2/3)。結果を問わず、シーズンを通して先発ローテーションを維持させることを最優先した。

 続々とマイナー選手を引き上げ、メジャー記録を更新する年間67選手を起用したのも、すべては来季以降の戦力を見極めるためだった。実際、投手陣ではジャスティス・シェフィールド、ジャスティン・ダン、野手陣ではカイル・ルイス、シェド・ロングらが、主力候補として成長の跡を披露した。

【次ページ】 菊池「本当に来年次第」

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