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英雄ヘルナンデスが去るマリナーズ。
イチローが口にした現状と今後。
posted2019/10/06 11:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
ひとつの時代の終わりを告げるような光景だった。
9月26日。マリナーズの本拠地Tモバイルパークで行われたアスレチックス戦は、感傷的な空気に包まれていた。
2005年以来、マリナーズの絶対的なエースとして活躍してきたフェリックス・ヘルナンデスにとって最後となる地元での登板。ブルペンでの投球練習を終え、マウンドへ向かう前の段階から涙を浮かべ、6回途中に交代する際には、観客の総立ちの拍手で見送られた。
19歳でデビューして以来、15年間、マリナーズの顔として投げ続けた怪腕も力の衰えは隠せず、今オフはFA(フリーエージェント)となるため、退団は確実な状況だった。
今年3月の日本開幕戦後には、イチロー氏が現役を引退した。
2001年以来、プレーオフから遠ざかり、長きにわたって低迷が続く中、シアトルのファンを魅了してきた投打の柱が、イチローとヘルナンデスだった。
その2人が、期せずして同じシーズンで去ることは、何を意味するのだろうか。
カノらを放出、世代交代を推進。
今季のマリナーズは、開幕前から「チーム再建」を掲げ、スタートした。オフ期間に、ロビンソン・カノ、ジェームス・パクストンら主軸を続々と放出し、菊池雄星をはじめ将来性豊かな若手を獲得した。ジェリー・ディポトGMら首脳陣は、今季ではなく、2020年、さらに'21年以降を見据えた戦略と公言し、若手選手を積極的に起用する方針を打ち出した。
開幕直後は、心機一転の空気がプラスに作用したのか、勝ち星を重ねた。4月11日の時点で13勝2敗、2位に4ゲーム差を付ける「開幕ダッシュ」に成功した。
ところが、若さと勢いだけで勝ち続けられるほど、甘い世界ではない。その後は、坂道を転げ落ちるかのように連敗を重ね、5月18日には最下位へ転落。気がつけば、アッという間に10ゲーム差を付けられていた。