酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
カーショウやバーランダーより凄い、
ダルビッシュの後半戦2つの成績。
posted2019/10/07 11:30
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
AP/AFLO
今年のダルビッシュ有は本当に、本当に、すごかったのだが、もどかしいことに、これがなかなか伝わらないのだ。
打線の援護がなかったこともあるが、ダルビッシュがシーズン途中で突然「スーパーサイヤ人」みたいにパワーアップしたことは驚きだった。
まずは昨年と今年の投手成績を比較しよう。
2018年 8登板1勝3敗 40.0回 防御率4.95
2019年 31登板6勝8敗 178.2回 防御率3.98
昨年は右ひじの故障で8試合しか登板できず5月20日の登板を最後に負傷者リストに入ってしまった。
一方で今季は3月30日の初登板からローテーションを維持して2013年以来6年ぶりに規定投球回数(162回以上)にも到達した(2017年は186.2回を投げたがア・ナ両リーグにまたがったので規定投球回数以上とはみなされず)。防御率3.98はナショナル・リーグ22位。勝利数は6勝だった。
この数字だけを見れば「復活できたね」という程度だ。
野球選手の成績は、1年ごとの成績の積み重ねで記録される。ダルビッシュのMLBでの平均防御率は3.57だし、年平均の勝利数は9勝だから昨年の成績は「良かったね」というのは確かに難しい。
勝敗、防御率だけで見てみると。
でも、今年の後半に限れば、違うのだ。ダルビッシュ有は、MLB史上でもまれにみる凄い成績を残している。
<後半戦(オールスター後)だけのナ・リーグの防御率5傑 70イニング以上投げた先発投手>
1 フラハーティ(カーディナルス)
15登板7勝2敗99.1回 防御率0.91
2 デグロム(メッツ)
14登板7勝1敗94回 防御率1.44
3 グレイ(レッズ)
14登板6勝3敗85回 防御率2.12
4 ダルビッシュ有(カブス)
13登板4勝4敗81.2回 防御率2.76
5 ウィーラー(メッツ)
12登板5勝2敗76.1回 防御率2.83
「そうか、ダルビッシュは後半戦に限ったら、リーグ屈指の投手だったんだ、でも勝ち星は上がらなかったね」
いや、これでも後半戦のダルビッシュのすごさはわからない。