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秋山翔吾の挑戦と、坂本勇人の存在。
日本人野手とメジャーの距離は? 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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photograph byNanae Suzuki

posted2019/10/02 11:50

秋山翔吾の挑戦と、坂本勇人の存在。日本人野手とメジャーの距離は?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

守備の負担が大きいショートで、タイトルを争う打撃能力。坂本勇人の特別さはアメリカにまで聞こえている。

「その選手はメジャーに来ないのか?」

 同選手が日本プロ野球の遊撃手歴代最多のシーズン本塁打数に迫っているというニュースを、ツイッターで知ったらしい(それは私も同じだった)。

「その選手はメジャーリーグには来ないのか?」と訊かれ「メジャーリーグには興味がないと思う」と答えると、彼は少しがっかりした表情でこう言った。

「守備的なポジションで、それだけ本塁打を打てるのは凄いのに」

 確かにその通りだった。

 本塁打を打ちまくっている日本の遊撃手が「メジャーに来ないのか?」と訊かれて反射的に「日本人の内野手は苦戦する」とか「日本プロ野球での記録とメジャーリーグの記録は比べられない」という疑念を頭に浮かべたのはこちらの方で、本当に野球が好きな人は、それがどこの国の出来事であろうが、素直に賞賛できるらしい。

 メジャーかぶれの偏見を持つ自分が恥ずかしくなったと共に、アメリカの野球ファンの懐の深さが嬉しかった。

プロ野球の遊撃手記録は41本。

 日本プロ野球遊撃手のシーズン最多本塁打は、宇野勝氏(元中日)の41本塁打(1985年)で、歴代3位の37本塁打(1984年)も同氏が記録しているという。

 宇野氏と言えば、遊飛を追いかけてる内に打球を見失い、それを頭に受けた珍プレーを思い浮かべてしまうのだが、それらの数字は同氏がいかに凄い「攻撃的遊撃手」だったのかを再認識させるものだろう。

 遊撃手のシーズン最多本塁打記録のリストを見ると、歴代4位にロッキーズやアストロズでも活躍した松井稼頭央氏(36本塁打 元西武)や、「ブンブン丸」の愛称で親しまれた池山隆寛氏(34本塁打 元ヤクルト)と「攻撃的遊撃手」として有名だった選手たちの名前が連なっている。

 日本プロ野球には他にも1995年に32本塁打を記録した野村謙二郎氏(元広島)や、2004年に27本塁打を記録した中島宏之(当時西武 現巨人)などがいるのだが、どちらかと言えば日本プロ野球史上最多の487二塁打の立浪和義氏(元中日)や通算2064安打の藤田平氏(元阪神)のように「巧打」の選手が多いイメージが強い。

【次ページ】 40本塁打はやはり突出した数字である。

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